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感想「誘拐の誤差」

「誘拐の誤差」 戸梶圭太 双葉文庫
この作家は、あんまり新しい作家に手を出さなくなった頃に出て来たので(99年デビューらしい)、なんとなく手を付けてなかったが、名前が気になってはいた。初めて読んでみた。

極悪な男に出会い頭で殺された10歳の少年の幽霊が、人の心を読めるようになった力を使って、自分の殺人事件の捜査を追いつつ、どうしようもない大人たちの生態を見ていく話。
本当に、どうしようもない大人しか出てこない。クセモノとか奇人変人とか、コメディ的にどうしようもないというニュアンスもないではないけれど、基本的には単純にダメな人間たちばかり。現実の人間の本性なんて、所詮こんなもんかも、と思いつつ、平均的には、さすがにもうちょっとマシなんじゃないかと思う。特に警官と教師の描き方が厳しい気がする。何か怨みがあるんだろうかと思うくらいだ。
コミカルな筆致で読みやすいし、事件が次々起きるから、読んでて気が抜けることはないし、たくさん起きた事件の大半は、まともに締めくくらずに終わっているけれど、そういう所にポイントがある小説じゃないのは分かるから、それも大して気にならない。だから、割と面白くは読めたんだけれども、読んだ後、索漠とした気分になった。主人公が最後に、10歳で殺されてよかったと感じるのが、とても納得出来る、救いのない話。この作家の小説は、いつもこんななんだろうか? そういう世界観なのか? だとしたら、もう読まなくていいやと思った。
(2012.9.12)

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