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感想「天狗岬殺人事件」

「天狗岬殺人事件」 山田風太郎 角川文庫
山田風太郎は、今まであまりちゃんと読んだことがない。古本屋で見掛けて、サブタイトルに「ベストコレクション」と書いてあったことでもあり、読んでみた短篇集。
読み始めてみて、昭和20年代ぽい中身だなあ、と思ったんだが、最後に解説を読むと、やっぱり大半が昭和20年代に書かれたもの。ベストコレクションてのは、ちょっと看板に偽りありで、単行本未収録の落穂拾い的な短篇集だったみたい。
でも、内容は悪くなかった。技巧的で鮮やかな結末のミステリが大半。他に、ブラックユーモアな小説がいくつか含まれているが、ミステリも大半はブラックユーモア的で、エログロ的。その辺が昭和20年代ぽく見える理由だけど、それは山田風太郎の作風に持ってたイメージでもある。まあ、そういうイメージで、俺の好みじゃないと思ってたから、積極的に読んでないんだが。本書を読んだ後もイメージは変わらなかったし、他のも読もうという気はやっぱりあんまりしない。ただ、かなり巧い作家だというのは理解した。
雰囲気も独特だし、いかにもマニアが喜びそうではあるけど(2001年に刊行された時、このミスで高評価だったりしたらしい)、これより後に、この人が普通に人気作家だった時期もあるんだよなあ。まあ、その頃は作風が違うんだろうけど。
虚無感が強く漂っているのは、太平洋戦争直後の時期の小説だからなんだろうが、確か戦中の日記を題材にした著作もあったはず。作風への戦争の影響は小さくないんだろうと思う。
(2012.12.11)

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