« 感想 「伏 贋作・里見八犬伝」 | トップページ | 感想 「社会を変えるには」 »

感想 「八月のマルクス」

「八月のマルクス」 新野剛志 講談社文庫
これも初めて読む作家。1999年の乱歩賞受賞作らしい。
スキャンダルで芸能界を辞めた元お笑い芸人が、スキャンダルの火元になった芸能記者が殺された事件や、以前の相方の失踪の謎に絡んでいく話。

丁寧にプロットを張っていて、乱歩賞応募に向けた気合いが感じられる気がするし、それだけ伏線を張りまくっている割に、登場人物の繋がり方に無理がない。俺の感覚からすると、そんなに奇異な人物は出て来ないし、主人公の屈折したキャラクターも、嫌みがない。それでも平板な感じにならないのは、それぞれの人物像がしっかり造形されてるということだろうな。丁寧によく書けていると思う。
それほど特別な所はないと思うものの、オーソドックスな感じの作りで、以前、俺が好きだったタイプの小説。今も別に嫌いになったわけじゃないけど、絶対的に数を読まなくなった分、そういうのに遭遇する頻度が減ってる。もしかしたら、こういう普通のミステリ自体は、昔より割合が減っているのかもしれないけど。

芸能界を舞台にしているが(ただし、業界物的な臭みはほとんどない)、著者の略歴にそれを伺わせるものが見えないのが、ちょっと不思議だった。単に表に見せてないだけかな。
あと、解説にもあるが、いいタイトルだと思う。掴みとしても効いてるし、意味が分かったあと、しみじみとした後味が残るところも良かった。
(2012.12.22)

|

« 感想 「伏 贋作・里見八犬伝」 | トップページ | 感想 「社会を変えるには」 »

「小説」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/3787/56388595

この記事へのトラックバック一覧です: 感想 「八月のマルクス」:

« 感想 「伏 贋作・里見八犬伝」 | トップページ | 感想 「社会を変えるには」 »