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感想 「日本の国境問題」

「日本の国境問題」 孫崎享 ちくま新書
竹島にしても尖閣諸島にしても、日本の領土だという日本の言い分に、ある程度理はあるんだろうと思ってるが、領土の境界にそんなに関心がなかった時代に放置されていて、人も住んでいなかった離れ小島を、今になって、残されているどっちの記録が先だとか、そういうレベルで争奪してるってのも、随分アホくさい話に思える。しかも、それが原因で人が死ぬような事態が起きるのは、バカとしか思えない。領海とかも絡んで、国益がどうこうという話になると、そう簡単に、そんなもんはどうでもいいと言いにくいのは分かるが、本当にどこまでの値打ちがあるのか、冷静に考えてから物を言った方がいいと思う。政府レベルでそういう判断が出来てないのが、今の日本の最大の問題なんじゃないか。
すぐに民意ってのが持ち出されるが、たいていの場合、そういうことをすると、こういう代償がありますってのを、ちゃんと説明しないで、都合のいい部分だけを説明して、支持を取り付けての民意だし。

しかも、この本を読んでると、竹島も尖閣諸島も日本の領土という主張の基盤自体が、決してそんなに盤石じゃないように思える。戦争してでも国土を守るみたいなことを簡単に言う政治家も居るが、こんなレベルの争いだということを理解した上で言ってるんだとしたら、頭が狂ってるとしか思えない。

この本で平和的な解決策として、いくつかの方法が書かれているが、結局「棚上げ」というのが一番現実的なんだろうと思う(これも書かれている選択肢のひとつ)。実際、これに限らず、国境なんて、基本的にグレーゾーンなのが一番いいんじゃないんだろうか。そもそも、昔はそうだったんだし。
まあ、相手があることだし、相手があまりにも無茶だと、穏やかにおさめようとしても、さすがになかなか、という面はあるに違いないとしても。

それでも昔は俺も、国際司法裁判所を使うなりなんなりで、スッキリ白黒つけちゃえばと思っていたけど、結局、スッキリ白黒つく話じゃないんだなということが分かってきて、思い直した。もつれた状態にあるものを無理やり白黒つけたとしても、どうせ遺恨が残るし、時代が変わって国同士の力関係が変われば、必ず蒸し返しになる。そう考えると無理に決着させるのは時間の空費だ。

ちなみに遺恨を残す決着の付け方で最大のものが戦争だと思う。だから、戦争による解決という考え方は絶対同意できないね。領土問題は戦争でしか解決出来ないという言い方も間違ってると思う。

それはそうと、北方領土問題って、日本とソ連の友好を妨害するために存在してるんじゃないか、その方が都合がいい誰かが背後にいるんではと、随分昔から思っていたが、この本によると、日ソ間で話がまとまりそうになると、アメリカがぶっ壊しに来ていたらしい。確かにさもありなんという感じ。
今は北朝鮮の使われ方に似たような物を感じるんだが、どうなんだろうな。

著者の結びとしては、政治家が領土問題で強硬発言をする時は、自己の勢力を強めたいという意図がある場合があり、その人物が何をやろうとしてるのか見極める必要があると言っている。全くその通りだと思う。
(2012.12.26)

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