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感想 「社会を変えるには」

「社会を変えるには」 小熊英二 講談社現代新書
だいぶ前に読み終わってたけど、分厚い本だもんで、まとめるのに手間取ってしまった。その間にあんな選挙があったりして、市民運動が社会を変えるという機運は後退している感があるが…。著者にはそうなって行くのが必然という想定があるみたいだが、俺はそこまでは確信が持てないな。そういう風に変わらないと、この国は行き詰まるという気はするんだが、変わらずにどん詰まりまで行って暴発、みたいなことになりかねないと思う。90年代以前までの「成功体験」が華々し過ぎたから、あの頃に戻ればいいというような意識が働いて、変えていくという方向に向きにくい気がする。

本書は今の社会がどういう経緯で形成されてきて、どういう問題に直面しているかということを、歴史を追いながら丁寧に説明した上で、ではどうするかというのを考察した本。
ちなみに脱原発運動にも関わっている人なので、その観点からの記述が多いし、本書の第1章のかなりの部分は原発についての考察に充てられている。
この著者の本は、以前「単一民族神話の起源」を読んだが、あれと同じで、よく勉強しているし、勉強した内容をうまく整理して説明している。中学高校の頃、倫社とか政経とか、ホッブズとかルソーとか、ほとんど関心を持てなかったけど、こういうことだったのかと思ったよ。こういう授業を受けていたら、俺のココロザシもいくらか違ったかな。もっとも、あの頃は自分自身に当事者意識があんまりなかったから、実際は違わなかっただろうけど。

日頃感じる日本の社会への違和感を、よく説明してくれてる感じ。理屈に合わないように思えることも、今までのいきさつを見ていくことで、ある程度、そういう風になっている理由が見えてくるし、見えているかどうかで、こちらのリアクションも違ってくると思う。

基本的に著者が提示している、こうあった方が望ましいという社会像の方向は、俺が考えてることと合っている。

もっとも、これは正解を書いた本ではないと著者は言ってるので。特に、じゃあどうやって社会を変えていくのか、という部分は、いろいろな方法論を紹介はするが、こうすればいいという示唆はない。まあ、そもそも正解なんてないんだろうが。基本的には、世の中を変えたいと思うなら、まず動かないと、というのが、基本的な主張という感じ。
暗いと不平を言うよりも進んで灯りを付けましょう、みたいな感じかな(^_^;)。確かにその通りではあると思う。
(2012.11.10)

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