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感想 「昔には帰れない」

「昔には帰れない」 R・A・ラファティ ハヤカワ文庫
一昨年、青心社から出た「翼の贈りもの」は、俺のラファティのイメージと微妙にずれてる気がしたが、今回は伊藤典夫と浅倉久志の翻訳を集めたものなので、そういう違和感はなくて、いかにもラファティ、という感じで楽しめた短編集。
特に、二つのパートに分けてる前半の方、解説で伊藤典夫が「シンプルな作品」と言っている方が、俺の昔ながらのラファティのイメージの作品。一筋縄ではいかないにしても、アイディアストーリー的で、オチのある、割とわかりやすい話。「月の裏側」とか「パイン・キャッスル」なんかは、それこそSF雑誌じゃなくて、ミステリ雑誌に載ってもおかしくないような内容だし。
それに比べると、後半は結構難解な感じになってくる。重層的な世界、見かけ通りではない真実(というか、真実はひとつではない?)といったところがポイントで、そうか、ディックと通じるものがあるんだなと思った。浅倉久志がラファティを愛好していたのも、そういう所だったのかもしれないな。後半は続けて読んでいると、さすがにちょっともたれる感じはするんだけど、それでもアイディアが豊富で、面白く読める小説。
中からひとつ選ぶとすると、「崖を登る」かな。

しかし、改めて考えてみると、た「翼の贈りもの」はずれていて、「昔には帰れない」はぴったりというのは、俺の(だけではないと思うが)ラファティのイメージは、伊藤典夫と浅倉久志のセレクトによって形作られている面が多分にあるということなんだろう。外国の小説に関する、紹介者のフィルターの影響力の大きさを、改めて感じた気がする。
(2013.1.8)

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