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感想「江戸・キューバに学ぶ”真”の持続型社会」

「江戸・キューバに学ぶ”真”の持続型社会」 内藤耕、石川英輔、吉田太郎、岸上祐子、枝廣淳子 日刊工業新聞社
いずれ資源を使い潰して破綻すると考えられる今の社会の在り方に対して、そうではない持続型社会の姿を、江戸時代の日本や、ソ連崩壊で物資が入らなくなったキューバを参考に考えてみようという本。その他に、現代の日本での取組みの事例も紹介されている。

体系的というよりは、それぞれの事情に詳しい書き手が(江戸は石川英輔、キューバは吉田太郎)、概観的に紹介している、という感じの内容。興味深いことは間違いない。特にキューバんついては、現代の話でもあり、日本でも真剣に検討しといた方がいいんじゃない?と思うような事例も含んでいる。実際、ヨーロッパでは研究が始まっているとも書かれているが。
ただ、個別の取組みだけでは、多分、限界はある。やらないよりはマシだろうけれども、効果は取り組みが広いほど、相乗的に出て来るもの。そうはいっても、本当に江戸やキューバ的な社会を実現するには、それだけの強い動機が必要だろうとも思う。江戸は鎖国によってそういう状況が生まれ、キューバも冷戦崩壊による国際情勢の変化が必要性を生んだ。キューバに関しては、中南米諸国との関係が改善して、物資が入り始めるようになった今では、社会の形が持続型ではない方向に変わりつつあるそうで、そういう所からも難しさが見て取れる。こういう方向へ社会を変えていく必要性は、真剣にあると思うんだが、多分、本当に物がなくなって、どうしようもなくなるまで、社会は動かないに違いない。あらかじめ準備をしておけば、ソフトランディング出来るかも知れないんだが、結局、ハードランディングになってしまうに違いない。
それでも、出来ることはやっていくべきなんだろうな。まあ、それがエコってやつだと思う。ささやかでも、何もやらないよりはマシ。

ちなみに、日本においては、福島原発の事故がそういう方向へ動く強い動機になりえたはずだし、ある程度、そっちの方に動いた感もないではないけど、充分ではなかったし、今は逆風も吹いている。
この本が出たのは2009年で事故以前。今、こういう本を出すなら、そっちの観点からの展開もあったろうなと思う。
というか、反原発・脱原発の運動の中でも、原発がなくても現状の生活は維持できる、という主張がかなり強い印象がある。そういう言い方の方が、メッセージを受け取る側の抵抗が低いからなんだろうが、それはやっぱりゴマカシだと思っているし、違和感がある。やっぱり、これを契機に真の持続型社会を目指す、くらいのことを、主張していくべきなんじゃないかと思っている。そうでなければ、原発維持派の、地球温暖化とか経済とかの側からの問題提起に、納得のいく形で答えることは出来ないんじゃないだろうか。
(2013.2.24)

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