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感想「「原発事故報告書」の真実とウソ」

「「原発事故報告書」の真実とウソ」 塩谷喜雄 文春新書
福島原発事故についての4種類の事故調査報告書を比較検討した本。
事故調査報告書は、さすがに自分で細かく読もうとは思わなかった。読んでみた方がいいかな、とは思っていたが、本書の著者が難儀したと書いているのを見ると、やっぱり無理だったかも。そういう人間に、手っ取り早く要点を教えてくれるという意味で、この本は手頃。出版社や著者の経歴を見て、どんなもんかなと思ってたが、内容も納得出来るものだった。

どの事故報告書も一長一短あるし、何らかのバイアスもかかってるようで、どれがベストということはないようなんだけど、一番信用出来ないのははっきりしているようで、それは責任逃れに終始する東電自身の報告書。
東電以外の報告書からは、ちゃんと読み込めば、東電がどれだけデタラメなやり方で原発を動かしていたかが、見えてくるようだ。
菅首相の責任とかをやたらと追及したがる向きもあるが、そもそも最大の責任者は、原発を適当な管理で動かしていた東電だという、ごく当たり前(なのに、なぜかすぐにごまかされそうになる)のことを、著者は言っている。
原発自体が危険な代物なのは間違いないにしても、しっかりコントロールしていれば、危険は最小限かもしれない。それでも一度でも重大な事故が起きた時の後に残る被害を考えると、許容出来ないと思うんだが。でも、東電がここまで信用出来ない組織だと分かった以上、それは全く期待出来ないと思う。事故の時だけでなく、今に至るその後の対応を見ていても。東電以外の電力会社も大きな違いがあるようには見えないし、そうであれば、普通に考えれば、原発はやめるしかないという結論にしかならないと思うんだよな。

本書のベースには、原発事故について、普通に考えればおかしいと思うはずのことが、メディアによって報じられていない、追及されていないという著者の思いがあるようで、それは俺が日頃から思っていることと同じ。そういう部分も共感できる本だった。
(2013.3.9)

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