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感想「英国紳士、エデンへ行く」

「英国紳士、エデンへ行く」 マシュー・ニール 早川書房
19世紀を舞台にした小説。タスマニアの原住民が、入植してきたイギリス人によって絶滅させられるいきさつが描かれるのが半分。この辺は、以前「タスマニアの最後の「女王」トルカニニ」という本でも読んだ史実を、大幅に取り入れて書かれている。イギリス人も200年前には、こんな酷いことをしていた。
もう半分は、マン島人の船員が乗り組んだ輸送船が、タスマニアにエデンの園があったと思い込んだイギリス人の牧師を団長とする探検隊を、タスマニアに連れていかないといけなくなる話。探検隊の中には人種間の優劣を信奉する人物がいて、彼の説によればマン島人は劣等民族。
著者の立場は「劣等民族」のタスマニアのアボリジニやマン島人の側にあって、イギリスのユーモア小説風な語り口とはいえ、彼らが延々酷い目に合わされる話だから、読んでると結構つらかったりするが、著者の彼らへの目線の優しさに救われる部分はある。逆にイギリス人のアボリジニに対する偽善的な振る舞いや、探検隊のイギリス人の愚行については、かなり容赦がない。
基本的には、人種間の優劣を語る愚かさを書いた小説と思うけど、権威的なキリスト教への皮肉もかなり効かせている感じ。
むしろ、自分以外の人間や人種を見下して、利用することしか考えない、偉そうな人たちへの嫌悪感を表明した小説、と言うべきかもしれない。
2000年の刊行で、邦訳は2007年。
(2013.2.20)

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