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感想「列車に御用心」

「列車に御用心」 エドマンド・クリスピン 論創社
ジャーヴァス・フェンものを主体とした短篇集。
フェアプレイを基本精神としたパズラーを書く、という狙いが貫かれていて、感心するくらい作風もレベルも一定している。ホックのホーソーンものを読んだ時のイメージに近いが、ホックは多作家なので、それなりに出来不出来はやっぱりある。本書は高いレベルで安定しているし、小説中に夾雑物も少ない。
もっとも、そのせいで、続けて読めなかった(^^;)。ひとつひとつじっくり考えてみたくなるというのもあるし、飽きてくるというのもあり…。
作品の出来が悪い、というつもりは全くないが、長篇にあるようなおおらかなユーモアはやや乏しいかもしれない。基本的にベースにユーモアがあるのは違いはないけれど、紙数に追われて、若干余裕がない気がする(あるいは書かなくて分量が足りるなら、余計なことは書かない、ということかも知れない)。俺がクリスピンを好きな理由としては、ユーモアに関わる部分が結構大きいので、そういう意味では、小説として読むには長篇の方が好きかな、とは思った。
中では「高速発射」が一番好みだと思う。この手掛かりはなるほどという感じで盲点だった。皮肉っぽくて、ちょっと理系くさくて、クリスピンらしい。それから巻末の「デッドロック」はちょっと毛色が違っていて、解説にはクリスピンは普通小説も書けることを示している、というようなことが書かれている。確かに長篇にもこういう傾向の部分を持つものがあったはずで、クリスピンはパズルしか書けない小説家ではなかったんだよな、と思わされた。
(2013.5.30)

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