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感想「蛇の卵」

「蛇の卵」 R・A・ラファティ 青土社
ラファティの長篇。近い時期に続けて邦訳が出た「第四の館」と微妙に方向性が似ている。選ばれた地球の生命体たち(人間以外の生物やロボットもいる)が、より高次の存在へ変化しようとして、それを阻止しようとする勢力との戦いになる話。いやまあ、だいたいそんなような話だと思う(^^;)。
ただ、「第四の館」と違うなと思うのは、あっちがラファティには珍しく、現代社会を直接論じているように見える部分が多かったのに比べて、こちらは徹底しておとぎ話。しかも、どこまで事実を書いているか分からない、みたいな記述が、小説の中にあったりもするわけで、これはホラ話、と宣言しながら書いているようなものだと思う(言われなくったって、どこから見てもホラ話だけど。それはまあ、「第四の館」もそうなんだが)。著者のスタンスの違いが、微妙にあるのかも知れない。書かれた時期もかなり違うようなので。今までのイメージからすると、こちらの方がいつものラファティぽいかなとは思う。ちなみに、本書は1987年刊行で最晩年に近い時期、「第四の館」は1969年刊行で、比較的初期に属する作品になるみたいだ。
ただ、本書は投げっ放しのプロットが結構多い気がする。個々のシーンが奇想天外なアイデア豊富で面白いのはいつも通りだが、いつも以上にまとまりがない感じ。ラファティの長篇を読む上では、それはそんなに大きな欠点ではないと思うけれど(元々、どうせ全体像なんて見えやしない(^^;))、ちょっと作りがチャチな印象は残った。
(2013.8.1)

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