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感想「望郷の道」

「望郷の道」 北方謙三 幻冬舎文庫
北方の曾祖父母をモデルにした小説だそうで、明治時代を舞台にして、佐賀で賭場を経営していたのが、トラブルに遭って台湾に流れ、そこで菓子会社を興して成功して、日本へ帰ってくる話。
前半の佐賀の部分は、時代小説を思わせる割とおなじみの雰囲気。台湾に渡って会社を作り始めると、北方には珍しい企業小説のような感じになる。もっとも賭場の経営のくだりも、多分にそれに近い要素があるし、そもそも北方水滸伝あたりは国の経営という部分に大きく踏み込んでいるので、必ずしもそんなに目新しい題材でもないのかもしれない。
どちらかというと、主人公の片方、正太の陽性なキャラクターが異色と思う。バリバリの仕事中毒なビジネスマンだが(台湾に流れてから、思う所あって仕事に打ち込んでいる、という話になってはいるが、既に佐賀時代から多分にそうなので、基本的に仕事中毒な性格なんじゃないかと思う)、何でもわかってて、カッコつけてるようで、ぼこっと抜けてたりするのが、あんまりいつもの北方の主人公にはないキャラだ。
そういう正太を、ある意味、尻に敷いてるカミサンの瑠い(王へんに韋)は、それに比べれば、北方水滸伝の豪傑な姐御たちを思わせる所があるから、むしろ、らしいキャラかもしれない。
正太の浮気の件のケリの付き方なんか、北方小説とは思えんほどコミカルなんだが、これはモデルになった曾祖父母の実話だとか?(^^;)
あんまりヒリヒリするような所がないので、割ととっつきやすい小説のように思える。いつもよりもかなり気楽に読めた。その分、やや物足りない感もある。会社を興して成功する話、って要約しちゃうと、とても俺が気に入る小説には思えないし(^^;)、実際そうだった。俺にとっては北方のストーリーテリングだけが読みどころだったような気がする。
(2013.6.18)

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