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感想「ナショナリズム」

「ナショナリズム」 浅羽通明 ちくま文庫
日本のナショナリズムについて、いろんな文献(流行歌やマンガも含む)をピックアップして紹介しながら解説していく本。しばらく前に読んで、そのままにしてた。

著者はいろんなものをよく読んでて、よく知ってるな、というのが、一番の感想。日本でナショナリズムが今みたいな状況になってることについても、それなりに納得のいく説明をして貰えた。

本来は、さらに紹介された文献を読んで、自分なりに消化していくのが筋かなと思わないではないけど、そんな時間も余裕もないので、近頃は、そういうことを代わりにやってくれてるのが、こういう人たち、と思うことにしてる。そこで、どういう人をどこまで信じるかってのは自己責任。この本に関しては、俺の実感に近い所で組み立てられている印象があるので、おおむね信用していいかなと思った。
結局、「普通の人」は、そういう次元で物を考えるのが精一杯だよなあ。人は信じたいものを信じる、というのが、その延長にあるのは確か。閉じてしまわないためには、意識的に、信じたくないものにも触れてみるという努力をしなくちゃいけない、ということだろう。

ただ、本書での著者の結論は多分、少なくとも現在の日本では、ナショナリズムなんて、大したもんじゃない(存在しないということでなく、既に空気のように遍在してるから、あらためてどうこう言うようなものではないという意味で)、というあたりにあると思うんだけれど、ナショナリズムが大したものだと思ってて、その特定の部位を切り出して振りかざしてくる相手とリアルに対抗するのに、そういう認識がどこまで役に立つのか疑問に思える。
今年出た文庫版に向けて書かれているあとがきを見ると、そこに著者は気付いているけど、それはリアルの話なんで研究者である自分の守備範囲の外、という形で逃げているような気がしないでもない。確かに、この本での著者の役割は、あくまでもいろんなナショナリズムを巡る言説の紹介にあるわけだから、それはそれで整合はしてると思うものの。本書を最初にまとめた2004年に、ナショナリズムをきっかけに深刻な問題が起きてもおかしくない現在の状況を、ありえる事態と予測出来ていて、その上で敢えてこういうスタンスを取っていたのかどうか。あまりにも気楽過ぎる論調のように思えるんだよな。

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