感想「史記 武帝紀(三)」
感想「史記 武帝紀(三)」 北方謙三 ハルキ文庫
武帝が、名君的な存在から独裁者に変貌していく過程に焦点が当たっている印象で、なぜそう変わっていくのかという部分を、割と無理なく描けているように思った。そういう軸らしきものが見えた分、過去2巻よりもまとまりがあったような気がする。
唐突に人が死んだりいなくなったりするのは相変わらず。ただ、その辺は、解説に史実に忠実に書かれているとあったのを見て、ちょっと納得した。そういう縛りで書いているのなら、情報がない部分を独自に補うのもそう簡単ではないだろうし、ある程度はどうしても、唐突な変化にせざるを得ないだろうし。
武帝が孤高の存在になっていくのに対して、匈奴に人間味が増しているのは、意識して構成してるんだろうか。情報が少ない匈奴については、漢よりも自由に書いているはずだから、ある意味、そこが著者の逃げ道なのかもしれないと思った。
(2013.8.30)
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