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感想「ベースボール労働移民」

「ベースボール労働移民」 石原豊一 河出ブックス
世界各地のプロ野球間の人の流れを、労働者の移動という観点から分析したもの。背景として、世界のプロ野球の現状についての説明もあるので、そういう興味にも答えてくれる内容。プロ野球は意外に世界中に存在してるというのが分かるが、そういう流れはMLBを中心としたグローバル化と密接に関わっていて、野球に対する観戦者の需要と必ずしも直結しているわけでもない感じ(イスラエルリーグのエピソードなんかが特にそう)。グローバル化の中での各国リーグの系列化というのも、味気ない話ではある。そういう中でNPBがどう生き延びていくか、というのも、テーマとしては存在するはずだけど、本書はそっちの方にはほとんど踏み込まない。
一方、そういう動きの副産物として、マイナーリーグの再興や独立リーグの発生が位置付けられている。これらは、アメリカでは、高騰したMLB観戦に対する身近な娯楽として起きている動きなんだそう。しばらく前に読んだ「古式野球」は、ある意味、こういう流れに連なるものでもあるのかもしれない。

MLBについて、リーグの人気を上げるためにスター選手が必要、そのためにリーグ内で実力格差を拡大させる(たとえば、ホームラン記録とか、ノーヒッターとかが出やすくなる)、だからエクスパンションしていくという理屈が書かれているくだりがある。どこまでMLBの真意に沿っているのか分からないが、確かにそういう考え方はありうるかもしれないと思った。ただ、少なくとも日本では、そこまで単純には行かない気がするが。

元々が研究論文として書かれたものなので、言葉の使い方などが必要以上に面倒になっていて、やや読みにくい部分もあるが、全体としては面白く読めた。
(2013.8.18)

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