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感想「われわれは99%だ」

「われわれは99%だ」 『オキュパイ!ガゼット』編集部編 岩波書店
6月に読んだ本。感想がなかなかうまくまとまらなかった。アメリカのoccupy運動の記録だが、そもそもこの運動がかなりつかみにくかったのが、まとまらなかったいちばんの理由。
運動名は正確には?、occupy wall street「ウォール街を占拠せよ」で、都市の一角を占拠するという運動の形態そのもの。それをすることで何を主張しているかというと、大枠では反格差運動だけど、必ずしもそこにとらわれない。本質的には、どこかの誰か(1%)が勝手に世の中の仕組みを決めていることに対して、それを99%の手に取り戻そうとする運動なんだと思う。
だから達成目標が何かというのは見えにくいし、本書にもいろんな人たちの文章が収録されているが、スタンスはまちまちで、問題意識のありかたも違う。本当の所、参加者のすべてがまとまっているかどうかも、怪しいんじゃないか、とは思う。
でも、解説にある「民主主義の学校」、誰か任せにせず、自分たちで世の中のあり方を決めていくということが目標と考えるのなら、それは正しい方向なんだろう。そういう運動が権力と対決するものになるということが、つまり民主主義がうまく機能してない、というふうにも考えられるのかもしれない。
でもって、日本にも似たような運動はあるけども、あくまでも目標ありき(たとえば反原発)なところが、多分本質的に違う。そもそも日本の場合、「取り戻す」じゃなくて、まず手に入れるという段階だと思われるし、欧米的な市民運動が日本ではいまいち盛り上がらないのは、要するにそこが原因なんじゃないかという気がする。見た目は似たような社会に見えるが、「民主主義」という点では多分周回遅れなんだろう。「99%」という感覚も、どれだけ一般的に共有されているか疑わしい。
もっとも、ウォルフレンの「いまだ人間を幸福にしない日本というシステム」の新版を読むと、先を行ってるのかもしれない欧米の方が、今ではむしろ日本よりも難しい状況にあるというようなことが書いてある。そういうことを考えれば、遅れてるとか、そんなことはどうでもいいし、こういう風にやっていけばうまくいくという手本があるわけでもないし、とにかく、自分たちで考えて、出来ることをやっていけばいい(というか、そういう風にやるしかない)んじゃないかな、という気がする。
(2013.10.4)

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