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感想「若者よ、マルクスを読もう」

「若者よ、マルクスを読もう」 内田樹+石川康宏 角川ソフィア文庫
若者じゃないけど読んでみた(^^;)。高校生あたりを念頭に置いたというマルクスの入門書だけど、俺もマルクスを読んだことはないし。

どちらかというと、思想そのものよりも、マルクスがどのように思想を構築していったかを解説するところに主眼があるらしい。マルクスの思想自体は、本書に拠れば、19世紀ヨーロッパの底辺の労働者の悲惨な状況を、現実に改善することを目標として組み立てられたものなので、21世紀の日本にそのまま通じるわけもない。
と言いつつ、マルクスの理論が現在の日本にそのまま当てはまる所もあると考えていると、内田樹が書いていて(52ページ)、後述することになってるんだけど、見当たらないような。今書かれているという続編に出て来るのか? もっとも、読んでいて、分かるような気はしてきたが。

正直言って、引用されているマルクスの文章(翻訳だが)は、かなりややこしくて、よく考えないと頭に入って来ないので、読んでみようという気にはあんまりならなかった。基本的には理想主義の思想だから、時間があって共鳴した学生なら、心酔して読みふけるというパターンもあるかもしれないが、これがどこまで実際に入門書になるのかなという感じ。
ただ、著者二人が解説として書いている文章が、既に十分啓発的と感じた。マルクスの名前を借りて、自身の思想(ただし、二人が全く同じ考え方というわけではない)を語っていると言ってもいいような内容だと思う。読んでいて、なるほどね、と思わされるくだりがいろいろと。
あくまでも現実的に世の中をよい方向へ向けようとする、頭でっかちではない、行動を伴った理想主義というのがポイントなんじゃないのかな。マルクスも、著者たちも。
そのためにどうすればいいのかということを、試行錯誤しながら徹底的に理詰めで考えたのがマルクスで、その姿勢に感銘を受けたのが著者たちということなんじゃないかという気がした。

マルクスの思想は理想主義で(「類的存在」というのが出て来る。自分の幸福と利益を気づかうのと同じ熱意で隣人の幸福と利益を気づかう、マルクスが考える理想の人間像だそう)、その後の共産主義国家が掲げた思想とは違う、みたいな話を、以前から断片的には聞きかじっていたけれど、全体像がある程度は分かった気はする。
既得権を守るために敵視する人間や、利用するために意図的に曲解する人間のせいで、彼が救済を目指した人たちに、その思想が正しく伝わらなかったんだとしたら、不幸なことだと思う。今の日本を見ていると、そういうことはよくあること、とは思えるが。
(2013.11.24)

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