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感想「チェルノブイリ・ダークツーリズム・ガイド」

「チェルノブイリ・ダークツーリズム・ガイド」 東浩紀・編 ゲンロン
昨年出た本で、チェルノブイリは、事故から約25年が経過した今では、だいぶ放射線量が下がっていることもあり、見学ツアーが行われているそうで、そのツアー体験を中心にチェルノブイリの現状を伝えている。福島第一原発を観光地化しようという提案と連動した企画もの。
なんでそういうことを提案するかと言えば、風化させないためというのが最大の目的で、他にもメリットは考えられるし、その辺については本書のあちこちに書かれている。

本書を見る限り、今のチェルノブイリは、今の日本での対処レベルだったら、少なくとも今では、市内に普通に人が住んでいてもおかしくないように見える。ウクライナでは土地は余ってるが、日本はそうでない、というのが最大のポイントなのかもしれない。
結局、福島第一原発の周辺に、住民がまばらな範囲がもっと広がっていたら、避難の問題はもっと単純だったんじゃないかな。そういうことを考えると、チェルノブイリでこうだったからというのを、福島第一に単純に当てはめるのは無理があるんだろう、とは思う。たとえば避難基準の空間線量とか、その辺の話についても。

ただ、そういうことを冷静に議論する環境がないよな、とも思う。反原発の側に、福島第一の事故への対処について、過剰反応的なものがあるのは確かだと思うが、ここまでの当局側の対応を見て、不信感を持たない方が不思議だし、その結果の過剰反応なのであれば、より問題があるのは情報を受け取る側よりは出す方だ。
しかも秘密保護法とか持ち出して、さらに不信感を高めるようなことをやろうとしているし。

ちなみに過剰反応的なものがあるかなと思っているのは、あくまでも、福島第一の事故で既に放出されてしまった放射能への対応に関する部分。
今も続いてる福島第一からの汚染水漏出とか、事故現場での作業で次々起きる問題とか、原発再稼働とか、これから何かが起きる可能性については、心配し過ぎることなんてないと思ってる。心配しなさ過ぎたから福島第一の事故が起きたんだから。

そういう意味では、福島への支援と反原発は、密接に繋がっているにしても、厳密には分けた方がいいテーマなんじゃないかと思う。それは前から思っているんだけど、反原発運動の現場に行くと、ひとまとめになってることが多いんで、意識しとかないと自分の立ち位置を見失いそうになる。ただ、あんまり細分化してしまうと、運動のパワーが落ちてしまいかねない問題があるだろうけれども。

で、福島第一の観光地化というのは、前者のテーマだ。悪くないアイデアだとは思うけど、現時点であれだけ不安定要因が残っている状況では、そういう話は時期尚早じゃないんだろうか。また地震が来て、不安定な建屋が倒壊したりとか、そういう不安が付きまといそうだ。事故の原因はあくまでも人為的なミスだったし、建っている場所自体の不安は少ないチェルノブイリとはそこが違う。ただ、そういう話題作りでもしないと忘れ去られてしまうというなら、やるしかないだろうけど。俺自身は、忘れるなんて、ありえないと思うんだが。
まあ、その辺は、続篇の「福島第一原発観光地化計画」を読んでみた上で考えた方がいいんだろう。

でもって、改めて、これだけ地面が不安定で、人が密集してる国に原発なんてありえない、とも思うわけで。

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