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感想「死者の奢り・飼育」

「死者の奢り・飼育」 大江健三郎 新潮文庫
初めて読んでみた大江健三郎の小説。「死者の奢り」が1957年の最初に発表された短篇で、「飼育」が1958年に芥川賞を取った短篇なんだそうで。割と知られてることかもしらんけど、知らなかった(^^;)。その他4篇を収録した短篇集。

全体的に、太平洋戦争があって、敗戦があって、進駐軍による占領があって、朝鮮戦争があって、水爆実験があって、という時代の流れを強く反映している。ただ、ここで描かれている小説の主人公たちの時代との関わり方は、近年のこの人の市民運動(たとえば、今、かなり中心的な存在の一人になっている反原発運動)に対するスタンスとは違っているように思える。人は変わるということなのかな。
そういう姿勢とも繋がることだが、全体的に強い徒労感や閉塞感を感じるんだけど、これも当時の時代の空気なんだろうか。
もっとも、時代を反映してるといっても、観念的な要素がかなり色濃く感じられるので、リアリティという点ではどうなのかなとは思った。自分では体験してない時代だから、そこは判断がつかない。まあ、著者がリアルな小説を書くという方向を目指してはいないのは確かだと思うけれどね。
やたらと「セクス」にこだわってて、しかも結構アブノーマルな方に振れているのが、いかにも若い作家だなあという感じではあった(^^;)。ちょっと耽美的な所があるのも、それっぽい。そうすると、閉塞感も、若さの表れなのかもしれないと思ったりもする。
独特なものがあるとは感じたけど、そんなに好みではなかった。ただ、もうちょっと近年の作品も一つくらい読んでみないと、どういう作家かという判断はつかないのかな。
(2014.1.10)

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