« 「ヌイグルマーZ」 | トップページ | 感想「ラグビー「観戦力」が高まる」 »

感想「反戦大将 井上成美」

「反戦大将 井上成美」 生出寿 徳間文庫
普通はまず読まない類の本だけど、年末に古本屋で見かけて、たまたまその日の朝の東京新聞のコラムで、半藤一利がこの人のことを取り上げていたのを思い出して、買ってみた。

大平洋戦争末期に終戦工作に奔走した最後の海軍大将だそうで、それ以前も、この時期の日本にしたら、急進的なくらいの平和主義者だったらしい。こういう人が日本軍の中で、あの時期に、よくまあそういう立場に居てくれたもんだ、という感じ。戦後も「サイレントネイビー」にならずに、日本軍がどういう愚行を犯したかということを語り続けたんだそうだ。
本書の著者自身も海軍に居たことがあり、兵学校では、当時校長だった井上と接していて、戦後も繋がりがあったということだから、ある程度、バイアスはかかってるかもしれないが、井上さんというのは相当立派な人だったようだ。理性的な判断を下すことが出来て、決めたことを貫く意志の強さや勇気も持ち合わせていた。あの時期の日本では、それは本当に大変だったに違いない。
もっとも、終戦工作といっても、一人で出来たことじゃなく、協力した人たちもいたし、そもそもそういう立場に彼を置いた周囲があってのことでもあるから、個人だけを持ち上げるのは筋違いだろう。割とめんどくさい所や変な所もある人だったというエピソードを所々に挟んでるのも、個人を妙に神格化しないための、本書の著者なりのバランス取りかもしれない。

それにしても、日本の今の問題は、こういうちゃんと筋を通した物の考え方をする人が、国の中枢にあんまり居ないように見えることだ。大平洋戦争の時だってそうだったんだから、所詮、そういう国なのかも、と思えなくもないが、筋の通った国にするために、やれる限りの努力はしたいわな。戦争ということについていえば、自分の勝手な感情だけで、軽々しく戦争を口にするような奴らを少しでも追い払って、いくらかでもこの国をマシな方向に持っていく側でいたい。それが「英霊」に報いるってことでもあるんじゃないのか、と思ったりもする。
(2014.1.21)

|

« 「ヌイグルマーZ」 | トップページ | 感想「ラグビー「観戦力」が高まる」 »

「小説以外の本」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/3787/59015427

この記事へのトラックバック一覧です: 感想「反戦大将 井上成美」:

« 「ヌイグルマーZ」 | トップページ | 感想「ラグビー「観戦力」が高まる」 »