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感想「ア・ロング・ウェイ・ダウン」

「ア・ロング・ウェイ・ダウン」 ニック・ホーンビイ 集英社文庫
この作家の長篇の久々の邦訳。もっとも、近頃はそもそも、そんなに小説は書いてないぽい。

大晦日の高層ビルの屋上に、4人の人物が自殺しようとやってきて、鉢合わせしちゃう。ほとんど何も共通点もない4人なので、とりたてて意気投合するわけでもないが、なんとなく成り行きで、とりあえず自殺をやめて、一緒にビルを降り、行動を共にするうちに、連帯感みたいなものが生まれちゃう話。
人生は何とかなるみたいな、割とポジティブなメッセージ性の感じられる内容ではあるけど、だいぶメチャクチャな人たちが、いきあたりばったりで行動していく話なので、リアルというより、おとぎ話だから、そんなにくさみは感じない。まあ、何とかなるといっても、いいことだって時にはあるしさ、という程度のレベルだし。それは、いかにも、この作家らしい落としどころではある。
深刻といえば深刻な題材ではあるけれど(特にモーリーン)、あくまでも軽妙な手つきで扱っていて、笑える場面も多いし、素直に面白く読めた。

それにしても、モーリーンは、これだけ厳しい状況に居ても、少なくとも生活が困窮して死を選ぶという状況ではないわけで(4人とも、純粋な生活苦による自殺志願ではない。だからまあ、救われる余地もあるんだけど)、社会福祉って重要だと思う。随分手薄になったとは聞くけれど、それでもそういう面は、イギリスは日本よりは、まだずっとマシのようだよな。
(2014.5.7)

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