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感想「九月、東京の路上で」

「九月、東京の路上で」 加藤直樹 ころから
1923年の関東大震災の時に起きた、朝鮮人などを標的にした虐殺についての本。
ヘイトスピーチが公の場で堂々と行われている現在から、当時を思い起こすという観点から書かれている。研究書ではないので、全貌を網羅するというような内容ではないが、どういうことが起きたかというのを概観するには十分。
「ジェノサイドの丘」で描かれるルワンダの虐殺は、日本に照らし合わせるには、さすがに状況が違い過ぎる面があるが、本書に描かれるのは、この日本で、まだ100年も経っていない昔に起きたことなんだから、他人事では全然ない。しかも、ルワンダに比べたら、事前の用意があったわけでもないし、ずっと緩い条件だったのに、これだけのことが起きたんだから、こういうことが十分起こり得る国だし、そういう国民性なんだと考えるのが妥当としか思えない。
そういう国で、ヘイトスピーチなんかを放置するのが、どれだけ危険かということだと思う。

それにしても、警察の資料にすら、不十分とはいえ、記録が残っているようなことを、「なかった」と書いてしまえるライターってのは、どういう人間なんだろう。書かれた文章自体を読んでないから、これ自体については何とも言えないが、なんでもかんでも水に流して、なかったことにしたがるのは、この国では珍しいことじゃないからな、とは思う。
そういえば、本書に書かれている中にも、この虐殺は異常な状況で起きた出来事だったんだから、なかったことにして忘れよう、というスタンスからの事後処理が、あちこちに出てくる。そうして、虐殺を行った責任はうやむやにされて、ちゃんとした処罰もほとんど行われなかった。

「この国」と書いたけど、結局、これは日本に限った話じゃないかもしれない。でも、そういうあり方は不公正で間違っているし、正していかなくちゃいけないはず。
(2014.5.14)

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