« 感想「プロ野球12球団ファンクラブ全部に10年間入会してみた!」 | トップページ | 感想「「踊り場」日本論」 »

感想「福島第一原発観光地化計画」

「福島第一原発観光地化計画」 東浩紀・編 ゲンロン
今年の初め頃に読んでた「チェルノブイリ・ダークツーリズムガイド」の姉妹本。というか、福島第一原発の観光地化計画を立てる参考として、チェルノブイリに取材に行った結果をまとめたのがあっちなので、こっちの方が本篇。
観光地化の目的は、原発事故を風化させないことと地域の復興。そのためにJヴィレッジの場所に、福島第一原発を訪れる拠点になると同時に、観光・研究・ショッピングなど、複合的に人が集まる施設を作るというアイディアを立案し、これを多面的に詳細に検討していくもの。

叩き台的なものとはいえ、プランは相当作り込まれている。個別の内容は現実味・実現性の強いものから、かなり絵空事的に思えるものまで、多岐に渡る。フィクションとノンフィクションの境界にあるもの、という印象が残ったのは、編者のあとがきの影響があるかもしれない。
ただ、世の中の野心的なプロジェクトの立ち上がりってのは、一般的にもこんなものなのかもしれない。どこかにフィクション的なものを含まなかったら、野心的でもなんでもないものな。

ちなみに、多数のメンバーが参加してのプロジェクトなので、それぞれの人の立ち位置は様々。必ずしも反原発というわけでもない。ただし、原発で事故が起きたことを風化させてはいけないという意識は、共通して前提にある。逆に言えば、結論が反原発でないとしても、あの事故が起きたことを前提にするのが、まともな物事の考え方だと思う。

個々のアイテムについてはともかく、趣旨や思想には共感出来るし、こういうものは実際に必要だろうと思う。
多分、この本に書かれているのは、だいたい1年前くらいの状況だと思う。今の実際の動きはどうなっているのか、興味深い。ネットで見てみりゃ分かるのかな。

ただ、こういう動きへの最大の障害は、原発事故を風化させることに全力を注いでいるように見える、今のこの国の政府(と産業界の一部)じゃないかと思う。近頃、彼らが言ったりやったりしてることを見ていると、原発事故なんてなかったことにして、事故の前の状態に戻せば、全てうまくいくと考えてるんじゃないかと思うくらいだ。
そういう連中の思い通りにさせないためにも、風化させないように、こういう努力を続けていかないといかん、ということだろう。
(2014.10.17)

|

« 感想「プロ野球12球団ファンクラブ全部に10年間入会してみた!」 | トップページ | 感想「「踊り場」日本論」 »

「小説以外の本」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/3787/60905454

この記事へのトラックバック一覧です: 感想「福島第一原発観光地化計画」:

« 感想「プロ野球12球団ファンクラブ全部に10年間入会してみた!」 | トップページ | 感想「「踊り場」日本論」 »