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感想「生きさせろ!」

「生きさせろ!」 雨宮処凛 ちくま文庫
ワーキングプアとかホームレスとか過労死などの問題を扱っている。2007年に初刊行されて、これは2010年に出た文庫版。このテーマの本としては時期的に早い方のはず。
この国で起きている、めちゃくちゃな労働や貧困の実例を挙げて、厳しく批判する内容。10年近く前の本だし、こういうテーマの情報は、これ以降、目にする機会が大幅に増えたから、目新しさはないけれど、読んでいて、今も状況は大して変わってないんじゃない?、という腹立たしさを感じる。しかも、今、政権を握っている安倍晋三と仲間たちは、この間に行われた改善を、むしろチャラにするようなことばっかり企んでいるように見えるし。社会福祉の切り詰めとか、残業代払わない法案とか。
だから、本書による問題提起は、今でも意味があるように思える。困ったことに。

隙あれば元に戻そうという動きが出てくるってことは、要するに、こういうことを本当に問題だとは思ってない連中がたくさんいるってことだ。人間を、使い捨ての金儲けの道具くらいにしか思ってない。しかも、権力の方に、そういう連中がいっぱいいる。そういう権力を正そうという動きの鈍さも含めて、この国の現状は異常だと思う。

正直言って、選択肢があるんだったら、こんな国で働きたい人間がいるとは思えない。よその国なら全ていいとは思ってないが、選択肢の中で日本を積極的に選ぶ理由があるとは思えない。英語教育とかグローバル化を推進したら、これから世の中に出てくような世代で、「高度なプロ」で気の利いた人間は、どんどん外国へ出てくんじゃないんだろうか。今の権力者が推進しようとしてるような方向に、日本がこのまま進むんだったら、本人たちにとっては、その方が多分幸せだろうとも思う。
でも、選択肢のない人間の方が、圧倒的に多いだろうし、「高度なプロ」になれる人間だって、一握りだろうから。やっぱり、この国のこういう世の中とは、戦わなくちゃだめだろうと思う。
(2015.3.19)

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