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感想「THE DEVIL'S COOK」

「THE DEVIL'S COOK」 エラリー・クイーン SIGNET
未訳のペーパーバックオリジナル。実際に書いたのは、フレッチャー・フローラとのこと。

地方都市の大学の近所にある、大学関係者ばかりが住んでいるアパートが舞台。居住者の一人の、経済学教授の妻が行方不明になる話。彼女は地方大学の教授の妻という立場に退屈している、男遊びの激しい女性で、ただの家出とも思えたが、次第に事件の気配が濃厚になって来る。

シチュエーションがジャック・ヴァンス代作の「The Four Johns」にかなり良く似ているので、これもヴァンスだったかなと思ったが、違った。まあ、さすがに同じ作家で、ここまで似た話は書かないな。フレッチャー・フローラは、他に2作代作していて、「The Golden Goose」はいまひとつ、「Blow Hot, Blow Cold」は(読んだ範囲では)クイーンのペーパーバックオリジナルの最高傑作だと思ってるが、本書は出来としては残念ながら「The Golden Goose」の方に近い。

最後に容疑者を一堂に集めて、探偵役の刑事が謎解きをするなど、本格ミステリ的な趣向は感じさせるが、登場人物の行動にリアリティがないし、特に犯人がバカ過ぎる。計画的犯罪にしてはお粗末だし、衝動的な犯罪にしては手が込み過ぎているので、どう考えればいいんだか。謎解きも、本格ミステリとしては、かなり貧弱な作りになってしまっている。
料理の作り方(Student Ragoutという、シチューの一種みたいなもの)が手がかりのひとつになるが、ここも、犯人が余計なことをしたとしか思えない。あまり書いてしまうと、ネタばれになるが(ネタばれが問題になるような小説かどうかはともかく)。
状況に強いられて、犯人が余計なことをして、墓穴を掘ってしまうというくだりが、微妙に「The Golden Goose」と話の構造が似ているような気はする。そういえば、刑事の雰囲気は、「Blow Hot, Blow Cold」に登場する刑事に似ている。あちらほど、存在感のある人物ではないけれど。

ちなみにタイトルは「悪魔の料理人」または「悪魔の料理」というところだが、あまりにもこけおどし。カバーは、おねえさんがフライパンであぶられてる写真なんだけど、そんな凄い話では全くなかった。期待したのに(^^;。料理が手がかりになるという程度しか、タイトルは内容との関連はなかった。
(2015.3.11)

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