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感想「本多猪四郎 無冠の巨匠」

「本多猪四郎 無冠の巨匠」 切通理作 洋泉社
東宝特撮映画の監督、本多猪四郎について書いた本。

作品ひとつひとつを系統立てて解説していくとか、年を追いながら生涯をたどるとか、そういう構成ではなく、章ごとに立てたテーマに沿って考察していく形。概観するような目的にはやや不向きかもしれないけれども、資料をよく集めているし、章ごとの掘り下げや、主要な作品についての考察は深い。
自分では、東宝の怪獣映画はそれなりに見てるつもりだったし、比較的いろんな資料を見てる部類とも思っていたけど、本書を読んでいて、ちゃんと見てないのが結構あると思ったし、監督がこれほど細かい所まで考えて撮影していたことも知らなかった。
「ゴジラ」に始まる一連の映画で、原爆が重要なテーマになっていることくらいは、もちろん分かっていたけれど、それ以外にも、SF性についての考え方とか、太平洋戦争での軍隊経験(主に中国で、異例に長い期間を従軍した)から来る、戦闘のリアリズムや、戦争に対する思想的なものの反映など、多様な要素が作品に詰め込まれているんだそうだ。原爆に関しても、思っていた以上に、深いレベルで考えた上で、作品に取り込まれていたんだなという感じ。

俺からすると、やっぱりいくらか古い時代の映画だし、東宝特撮に限らず、その時代の映画には、感覚的にすんなり馴染めない所があるから、同時代のものとは違って、少し距離を置いて見ていたのは確かで、そういうスタンスや先入観のせいで、見えなくなっているものが、結構あるかもしれないなと思った。
それに、まあ、一度や二度、見たくらいで、分かった気になってもダメ、ということだと思う。読み返しの効く本と違って、映画はどんどん流れていってしまうものだから、そんなレベルで見ていても、深いことは分からない。もっとちゃんと作品に向き合って見ないと。

もっとも、手間暇掛けても、結局ダメな映画だったという結論になることもありえるから、難しい。まあ、そういうことは、評論家やマニアックな人に研究して貰って、通りすがりの人間は、その結果を教えていただければいいのかもしれないけど。それこそ、本書を読んで、考えたように。で、それを契機にして、映画を見直してみればいい、ということかもしれない。
本多猪四郎自身が、多くの観客に見て貰ったことを自負していた、ということであれば、そんな程度の理解であっても、とにかく面白がって見ていたというだけでも、監督の意図は達せられているのかなとも思えるし。

それにしても、まずは、まだ見てない「ガス人間第1号」とか「緯度0大作戦」とか、見てみないと、と思った。
(2015.4.10)

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