« ヤクルト対フューチャーズ(5/9) | トップページ | J1リーグ1stステージ第11節名古屋対川崎 »

感想「洲崎球場のポール際」

「洲崎球場のポール際」 森田創 講談社
日本のプロ野球史上の「幻の球場」のひとつ、洲崎球場の実像を詳細に調査した結果をまとめたもの(2014年10月の刊行)。また、プロ野球が始まった当時のこの球場について語ることは、昭和11〜12年を中心とした、その当時のプロ野球そのものについて語ることにもなるわけで、そういう意味でも非常に興味深い内容だった。
正直言って、この本を読むまで、「洲崎」という場所自体、よく知らなかったという…。東京の、多分、どっか東の方、くらいのイメージ。木場から東陽町のあたりだったか。といっても、あの辺はあんまり知らなかったりするが(^^;。木場までは行ったことがあるけど、そこから東側へは行ったこともないかもしれない。
そういう場所に球場が出来て、いっとき、もの凄い盛上りを見せて、すぐに消えていった顛末が語られるが、その一瞬の輝きが、非常にうまく描かれている。今から80年前にも、ここまでプロ野球に夢中になった人たちが居た、という親近感がわき上がってくる。
他にも、プロ野球が新聞の拡販競争と密接な関わりがあった話とか、東東京に巨人ファンが多いいきさつとか、茂林寺の猛特訓とか、初期の各プロ球団の設立の経緯とか、洲崎球場以外についても、興味深い話がいろいろ。まあ、この辺は、この本でなくても、当時のプロ野球について書いた資料には出てくる内容なんだろうけど、著者が、いろんな資料を手際よくまとめている。

ただ、こうした出来事の背景には、日本が泥沼の戦争に踏み込んでいく時代があるわけで、それによって、プロ野球も選手たちも、厳しい状況に追い込まれて行くのが切ない。沢村が戦死したことくらいは知ってたが、そこに至るまでの彼の動向には心を動かされるものがあるし、名前くらいは知っていた「タコ足」中河が、戦争のために、そんなに悲惨な人生をたどった選手だったことも知らなかった。

そんな時代があったから、戦争をしない憲法が作られたし、歓迎されたんだろうに、ということを、時節柄、考えないわけにはいかないよな、やっぱり。

本書の終盤からあとがきにかけての部分を読んで、著者にもそういう思いがあるんだろうか、と思った。

|

« ヤクルト対フューチャーズ(5/9) | トップページ | J1リーグ1stステージ第11節名古屋対川崎 »

「小説以外の本」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/3787/61565192

この記事へのトラックバック一覧です: 感想「洲崎球場のポール際」:

« ヤクルト対フューチャーズ(5/9) | トップページ | J1リーグ1stステージ第11節名古屋対川崎 »