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感想「THE MADMAN'S THEORY」

エラリイ・クイーン Pocket Books
ペーパーバックオリジナル。代作者はジャック・ヴァンス。

成功した薬品会社の社長が、友人や部下との5人のパーティでシエラネバダ山脈のトレッキングに出発したが、行程の3日目に狙撃されて死亡し、所轄のコリンズ警視が捜査に携わる。
殺人が起きるまでの行程の途中、一行の後を不審な人物が付いてきており、それが犯人と思われたが、なぜ2日も追いかけて、山の中の不便な場所で、敢えて凶行に及んだのか理由が分からず、狂人の犯行かもしれないという推測も生まれる。
コリンズがトレッキングの同行者や家族から事情を聴いても、犠牲者となった人物は、やり手の事業家ではあるものの、恨みを買うような人柄ではなく、殺される動機が見当たらない。
一方でコリンズは、トレッキングの出発地点となった公園入口の駐車場の記録を調べ、事件当時に出入りした不審な車をピックアップする。その筋から、スティーヴ・リックスという人物が浮かび上がるが、その矢先、彼が殺害されているのが発見される。

「狂人の理論」という刺激的なタイトルだし、事件に含まれる不可解な要素が、ねじれた思考では筋が通って見えてくる、というような方向に話が進むなら面白そうと思ったが、どうということはない結末にたどり着いたので、かなり肩透かしな感じだった。
冒頭で事件の顛末が語られる部分以外は、一貫してコリンズによる捜査活動が描かれていく体裁で、地味な捜査小説と言うのが適当かもしれない。そういう基準で計れば、丹念に描かれてはいるし、そう悪い出来ではないのかも。とはいえ、犯人の計画が、やたらと手が込んでいる割に、あまりにも粗雑で効果が薄く見えるので、内容そのものも、物足りなく見えてしまった。

小説自体は丁寧に書かれていると思った。トレッキングの舞台となる自然の風景描写は美しい。この辺は、代作者のジャック・ヴァンスの力なんじゃないかな。
(2015.11.10)

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