「ひそひそ星」
園子温のSF?映画(公式サイト)。園子温の映画は、けっこうよく見に行ってることもあるんで、どういう映画か、あんまり知らなかったけど行ってみた。新宿シネマカリテ。初めて行ったが新しくて綺麗な映画館だった。新宿駅至近なのもいいわ(駅を出てから映画館まで行くより、新宿駅の中を移動する方がずっと大変)。
多分、変な映画、と思ってて、確かに変だったけど、そもそもあんまり娯楽的な映画じゃなかった。静かで淡々としてて、大半がモノクロで撮られている。
最初の印象は、監督がカミさんの女優を長回しで撮りたかった映画かな、という感じ。
途中までは「2001年宇宙の旅」を思わせるような、宇宙船内でコンピューターと乗組員だけが登場する、静かな映画。というか、音に関しては、最初から最後まで、大きな音がほとんど響かない。登場人物はみんな「ひそひそ」としか話さない。その乗組員が神楽坂恵で、監督のカミさん。
人類は滅びゆく存在になっていて、人類同士の間で、日々の営みを思い出させる思い出の品物が、宅配便でやりとりされるようになっている、という設定。そうした行為を理解できないアンドロイドが、その配達業務をやっていて、主人公である宇宙船の乗組員も実はアンドロイド。
ネタばれ的なことを書いてしまえば、
そのアンドロイドが、その業務をこなして人間と交流していくうちに、人間のそういう行動を理解するようになっていく、という流れ。アンドロイド(ロボット)が人間の心を持つようになる話、とくくってもよさそうだけど、ちょっと単純で乱暴すぎるくくり方かもしれない。
ただ、最後の方で、そうした人間の営みが影絵で次々に流れていく場面があるが、正直、俺にはその場面は、グロテスクなものにしか見えなかった。ストーリー的にも、園子温の作風から言っても、そこはポジティブな場面と捉える方が妥当と思えるから、そういう反応は監督の意図とは合ってないんじゃないかな。
もっとも、世の中の人間の多数派の感性が自分のようだったら、すぐにでも人類は滅びる方向へ向かうんじゃないかと思ってるし、自分の感覚の方が正しいと主張する気はないよ。
滅びかけてる人類が住んでいる場所を描くのに、福島の浪江や大熊の、廃墟のような街並みでのロケの映像が使われていた。いろんな過ちを繰り返したことによって、人類は滅亡に向かっている、という趣旨のナレーションが入る箇所があり、やはりここには、そういう意味を持たせているんだと思う。それはかなりわかりやすかった。
(2016.5.16)
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