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感想「さようなら、ロビンソン・クルーソー」

「さようなら、ロビンソン・クルーソー」 ジョン・ヴァーリイ 創元SF文庫
八世界もの短編集の後編(前編は「汝、コンピューターの夢」)。

よく出来たSF短編の集成という印象は前編と変わらないけれど、こちらの収録作は、SF的なアイディアの面白さよりも、それを背景にして、普遍的な人間の問題を書こうとしているように見える。ジェンダーとか、青少年の成長期の苦悩とか、モラトリアムから抜け出す痛みとか。
そういう差が本当にあるわけではなくて、前編でも同じように書かれていたけど、SF的なアイディアに慣れた分、それ以外の要素に自分の目が行きやすくなっただけ、という可能性もあるが。
このシリーズが、個人の人間の属性をテーマにした小説を書きやすい設定なのは間違いないし、それをうまく生かしてるということではあると思う。特にジェンダーについての考察は、シリーズ全体を貫いているテーマと言ってもいいのかもしれない。こういう仮定の設定の中で描くことで、見えやすくなるものは、間違いなくある。それはSFの効用のひとつのはず。
もっとも、その分だけ、単純にアイディアを面白がるのは難しくなってしまった気はする。それと、テーマどうこう以前に、全体的に、前編より暗めの調子の作品が多いのは確かかもしれない。
(2016.4.8)

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