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感想「消えたイングランド王国」

「消えたイングランド王国」 桜井俊彰 集英社新書
イングランドというのは、イングランド人による統一王朝は142年しか続かなくて、その王朝が1066年にヘイスティングスの戦いでフランスから来たウィリアムに負けた後は、今日に至るまで、フランス由来の王様を戴いているんだとか。そのたった124年の「イングランド王国」について書いた本。

イギリスの歴史に特に強い関心はなかったから、というのはあるにしても、そんないきさつは全然知らなかった。一通り、高校の世界史で、さわりくらいは勉強した覚えはあるが、身になってない。百年戦争とか、ロビンフッドの伝説とかには、そういう背景があったのか、と分かれば、イギリスを舞台にしたいろんなものやことの見方が、ずいぶん変わる。それと、元々のイングランド人って、どういう人種なのか、どうもよくわからないと以前から思ってたんだけど、だいぶすっきりした。おおざっぱに言って、支配者層がフランス由来のノルマン人で、一般人がアングロサクソン人という構図なんだね。まあ、どっちにしても、元々はゲルマン人なんだろうけど。

それ以上に印象が強かったのは、そういう状況になる前から、イングランドは北欧やフランスから来た人たちと戦ったり、そういう人たちがやってきて定住したりという歴史があった、というあたり。その辺を読んでると、あの辺の「国」の感覚って、やっぱり今の日本の「国」とは違うんじゃないかな、と思う。むしろ、日本の中に、江戸時代まであった「国」に近いんじゃないんだろうか。そう考えると、ノルマン人に支配されたイングランドといっても、大和に支配された九州とか東北とか、その程度のことなんじゃないのかな、という気もする。

でもって、そういう国と国との距離感の近さが長い間続いた結果として、今みたいなヨーロッパ(少なくとも西欧)の状況が生まれた、と考えると、日本が外国と自然にそういう関係を作るには、まだ全然時間が足りてないのかもしれないと思う。今はこういう時代なので、半ば強引に「国際化」してるわけだけど、いろいろとぎくしゃくするのは、やっぱり仕方ないんだろう。ただ、そういうヨーロッパの歴史から学べば、(ヨーロッパがこれまで経験したような)無駄な血や破壊を伴わずに、もっとうまく他の国と付き合っていける可能性があるんじゃないのかな、とも思う。もっとも、この辺は、この本の趣旨とは全然関係ない話。
(2016.1.22)

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