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感想「ジャック・リッチーのびっくりパレード」

「ジャック・リッチーのびっくりパレード」 ジャック・リッチー ハヤカワポケミス
先日亡くなった小鷹信光が作品をセレクトした短篇集。
読んでいて思うのは、前回の「あの手この手」の時も思ったんだけれど、俺が一番好きな短篇作家って、リッチーなんじゃないんだろうか、ということ。これだけ、どれを読んでも面白いと思える作家は、他に思い当たらない。まあ、これだけの数の短篇を書いていて、逆に長篇はほとんど書いていない作家は、そうそうはいないので、比べる相手が少ないというのはあるんだけれど。
(すぐに思いつくのはホックくらいだし、俺は、ホックがあれだけ量産したのは凄いと思ってるけど、パズラーとしての質はともかく、読んで面白いかどうかについては、かなり波があると思ってる)
ひねくれたユーモアのセンスとか、間の外し具合とか、透けて見える人生観とか、師匠と呼びたいくらいだし、実際、多分にそういう所はあるかもしれない(^^;。
自分が小説を書くなら、こういうのを書きたいと思っていたし、ターンバックルみたいな生き方が出来たらいいのにな、みたいなことを、昔は思っていた。

本書も粒がそろってる短篇集で、どれが一番好きとか、とても選びにくい、というか、選べなかった。まあ、飛びぬけて物凄い作品はなかった、ということでもあるけれど、それもまた、リッチーらしいといえなくもないかな。

ところで、小鷹信光が解説で、「原稿二千枚を超える犯罪小説を百分の一に圧縮したような」と書いているのは、「ようこそ我が家へ」なんだろうと思うけれど、これが「おそろしい物語」だとは思えなかった。翻訳だから、ニュアンスがうまく伝わってこないのかもしれないが、小鷹信光という人は、書かれた文章を読んでいて、とても思い込みの激しい人物だったように感じていたし、それは考え過ぎじゃないか?と思ったことも一再ならずあったから、これもその口かなあ、と思わないでもない。
苦みのきいたクライムストーリーの一群が、日本では紹介されてこなかったという趣旨のことも書いているけれど、少なくとも本書に収められているタイプの作品であれば、過去に読んだ記憶はあるし、そこまで言い切るのは、ちょっと誇張が入っているんじゃないか、とも思った(個人的な経験が裏にあるのかもしれないが)。やはり紹介されてこなかったという、ファンタジー風・SF風の作品というのも、シチュエーションがそうだというだけで、中身は通常のリッチーの小説と、そんなに違うとは思えないんだよな。殊更に書くようなことなのかな、と。
小鷹信光が書く文章には、そういう違和感を覚えることが時々あったな、というのを思い出したんだけれど、小鷹信光が紹介してくれたからこそ、俺もいろんな小説を読んでこれたわけだし、やっぱり、彼が恩人であるのは間違いない。
(2016.3.18)

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