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感想「歴史再発見 アフリカは今 カオスと希望と」

「歴史再発見 アフリカは今 カオスと希望と」 松本仁一 NHK出版
NHKのラジオ番組のテキスト(放送は聴いてない)。アフリカの国々が軒並みぐちゃぐちゃな状態に陥っているのはなぜか、というあたりを、概説する内容。
ボリュームが薄いので、あくまで概論。話を単純化し過ぎてない?と思う所はあるけれど、論点が整理されていて、頭には入りやすい。比較的馴染みのある題材を選んで解説しているので、とっつきやすさもある。

もちろん、混乱の元凶は、かつてのヨーロッパ列強。植民地支配の過程で、元々存在していた社会秩序を完全に破壊したことと、植民地解放の際には、地域の部族の分布や力関係に配慮することなく、植民地当時の枠組みのまま、独立させたこと(それによって、多数派の部族が利権を貪るような状態になった)が問題だった、と著者が言っている印象。
ただ、前者は当然そうだろうけど、後者に関しては、部族毎に分割して独立したとしても、内戦じゃなく国同士の紛争が起きただけでは、という気はしないでもない。それと、多数派が数の力で権力の座に居続けたことで権力の腐敗が進んだという話なら、必ずしも部族がどうというだけの話じゃないはず。話を単純化し過ぎてない?と思ったのは、特にそのあたり。

しかしまあ、独占的な権力が腐敗を生むということを考えるのは、重要なことだと思う。日本で、賄賂を貰うどころか、自分から要求するような元大臣が、平気な顔で政治活動を継続してるのも、そういう構造だし、そういう連中は自分たちが権力を握っている構造を維持するためなら、どんなことでもするよな。

そう考えると、アフリカの事態は、そんなに他人事でもない気がしてくる。
著者は、日本は幕末時にあった、ヨーロッパ列強に植民地化される危機を、国民国家を形成することで賢く切り抜けた的なことを、しきりに言いたがっているが、そっちの観点はないのかな、と思った。それに、日本とアフリカでは地理的にも歴史的な経過も全然違うから、植民地化の有無を単純に比べるのは、あまりにも無理があるし、そのあたりにもかなり違和感を持った。

権力者のモラルの低さ(結局そういうことだと思うんだが)については、力のある対抗勢力がない限り、どうしたってそういう方向に流れると思う。それを押し止めるのが、たとえば宗教の役割なんじゃないかと思うんだけど、それがうまく機能していないから宗教原理主義が台頭して、タリバンやISが登場するという構図なんだろうかと思ったり。
近頃はイスラムばっかりで、キリスト教のそういう動きは聞かないのは、イスラムの方がそれだけ世俗的だからなのか、それとも、もしかして、そういう意味でのキリスト教はもう終わってるということなんだろうか。
(2016.6.22)

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