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感想「イランの野望」

「イランの野望」 鵜塚健 集英社新書
サブタイトルは「浮上する「シーア派大国」」。
「野望」というのは、かなり煽情的なタイトルだけど、内容は、日本では誤解されている所が多々あるイランの真の姿を伝える、という意図を感じさせるもの。
イスラム教の中では少数派のシーア派の国で、アメリカと対立しているから、ネガティブな情報ばかりが流れがち、という構造らしい。先日読んだ「クルアーンを読む」という本でも、著者の一人の中田考(スンナ派のイスラム教徒)は、イランをばりばり敵視していたし。

イランは中東にあっては、危険な国どころか、国内の治安は最も安定している部類だし、ガチガチなイスラム教徒はそれほど多いわけではなく、庶民レベルでは反米どころか親米。生活水準も教育水準も結構高く、イスラム教の影響で女性に抑圧的と見られているが、男女の分離が厳密に行われている分、むしろ日本よりもはるかに女性の社会進出が進んでいる、というような感じ。
物事を、一方向からではなくて、いろんな角度から見ることの必要性を感じさせてくれる。

もちろん、イランが手放しで素晴らしい国というわけではなくて、ネガティブな要素も多々あって、女性が機会を奪われている面は確実にあるし、報道に対する抑圧も非常に厳しい。
ただ、今の日本で、現政権が報道に対する干渉をどんどん強めていたり、女性の地位向上に対する抵抗が根強いことを考えると、日本には、そうした面で、他国のことをどうこう言えるような資格が、急激になくなりつつあるんじゃないか、という気がするけれど。

イランのような独自の立ち位置にいる国と、独立したスタンスでうまく付き合うことが出来てこそ、一人前の国だと思う。昔の日本はそれが出来てたように思えるんだが、近年は、そういう所も急激に劣化しているような感じがする。日本はすごいとかえらいとか言ってる人間が、逆に、日本のすごかったりえらかったりした所を、どんどん壊していってるのが現状のような気がしてしょうがない。

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