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感想「最後のウィネベーゴ」

「最後のウィネベーゴ」 コニー・ウィリス 河出文庫
短篇集。ずいぶん前に出た「犬は勘定に入れません」を、「ボートの三人男」を連想して(「ボートの三人男」は凄く好きな小説)、読んでみようかと思ったけど、結局、読まないままだったから、これで初めて読む作家。現役のSF作家の中では巨匠クラスらしいが、それもこの本の解説を読んで、初めて知ったくらい。よく名前を見るな、とは思っていたが。特にSF愛好家というわけじゃないから、そういう知識は薄いわけで。

それでも、それなりに期待はしていたが、どうも不発だった。
5篇収録されているうち、最初の3篇が、登場人物同士のコミュニケーションがうまくいかないことを、ストーリーのベースに置いている作品。読んでいて、そこがすごくいやな感じだった。まあ、そう感じるのは、俺自身の精神状態による所が大きいとは思うので(近頃、対人コミュニケーションに、強いストレスを感じることが多いので)、作品そのものの良し悪しとは必ずしも関係ないだろうが、相性が悪いというのは、はっきり思った。
アイディアは面白いんじゃないか、とは思えたけれど、まくしたてるような話の運びが、それを面白がる気持ちの余裕を与えてくれない。登場人物に対する、めんどくさいとか、鬱陶しいとか、そういう気持ちが先行してしまって、楽しさが感じられなかった。
4篇目の表題作は、そこまで3篇のドタバタ喜劇的な作風から一変して、シリアスで感情に訴えるタイプの作品だったが、そこまでの悪印象を引きずっていたせいもあってか、滅んでいくものへの哀惜というテーマが、なんだか手垢のついた題材としか思えず、ほとんど気持ちを揺さぶられなかった。終盤で明らかになる真相の一部が、途中で分かってしまったこともあり、あざといなあ、としか思えなかった。
文庫化にあたって追加されたという5篇目に至っては、風刺のアイディアは分かるけど、それ以外に何もない、その時代にその場所に居ないと、ほとんど意味がないタイプの小説だね、という感じ。

まあ、合わない作家だった、としか言いようがない。
繰り返しになるけど、アイディア自体は悪くないと思ったし、多分、SFの書き手としては、悪い作家じゃないんだろうと思う。違う時期、違う気分の時に読んでいたら、面白がれた可能性はあるかもしれない。でも、とりあえず今の自分には、全然向かない作家(作品?)だったのは間違いない。
(2016.8.11)

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