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感想「ゲット・ショーティ」

「ゲット・ショーティ」 エルモア・レナード 角川文庫
1990年の刊行で、邦訳は1996年。邦訳刊行当時に読んだものを再読。

マフィアの下っ端で、マイアミで高利貸しをやってる男、チリ・パーマーが主人公。組織内でのゴタゴタに嫌気がさして、ロサンゼルスにやってきたが、借金をごまかして逃げた男を探す過程で映画業界の人間と知り合い、元々、映画狂だったことから、映画製作にはまっていく。

人はいいけどちょっと抜けてる、ヤクザなタフガイってのが、レナードの主人公の基本パターンだと思っているが、本書のチリはまさにそれ。チリ以外の登場人物も一癖ある人物ばかりで、彼ら(女性もいる)が、それぞれ、自分の思惑で立ち回っていく過程を、コミカルに描いている。裏のかき合い、騙し合いの連続。
どの登場人物も自立していて、組織の一員としてではなく、個人として悲壮感なく行動しているから、爽快感がある。レナードの小説を読んでいて、気持ちがいいのは、多分、そこ。今回、気が付いた。
一番ソツなく動いているのは、チリが惚れてしまう、元女優のキャレン・フローレスだろう。レナードの(ある時期の)小説は、だいたい、女性がそういう役回り、という印象がある。男は、妄想や野心が邪魔をして、だいたいバカなことをしてしまう。

再読してみて、これはミステリじゃないかも、と思った。サスペンス的な要素はないわけではないけれど、それを期待して読むと、ほぼはぐらかされる。話のきっかけになった、いかにもミステリ的な要素になりそうな、借金の回収やマフィア内部のゴタゴタは、巻末の時点では、どこかへ消えてしまう。基本的には、ハリウッドにやってきた映画狂のヤクザのわくわく体験記という内容で、「チリのハリウッド・アドベンチャー」(作品中にそういう言葉が出て来る)そのもの。
そういう意味で、プロットのまとまりみたいなものは、かなり希薄だけれど、登場人物が楽しくて、場面が格好良くて、面白く読めるんだから、特に問題はないと思うな。
それから、レナードの、映画(特にB級)に関する知識の深さと愛情が伝わってくる作品だったと思う。それだけでも、読んでいて楽しい。

先日読んだ「Maximum Bob」は本書の次作にあたる。あの小説の成行き任せのとりとめのなさは、本書と共通している。やっぱり、「Maximum Bob」はレナードらしい小説だったな、と改めて思った。

[追記] 映画化版の感想をこちらに。

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