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感想「ラム・パンチ」

「ラム・パンチ」 エルモア・レナード 角川文庫
「ザ・スイッチ」の13年後の後日談的な作品。1992年の刊行で、邦訳は1998年。
邦訳直後に読んだはずなので、ほぼ20年ぶりの再読。

主人公のジャッキー・バークはスチュワーデス(昔の本なので、表記はCAではなく、スチュワーデス)。「ザ・スイッチ」に登場した悪党オーディルが武器密輸で稼いだ大金を、アメリカ国内に運び込むのに協力している。捜査官がそれに目を付け、ジャッキーを抱き込んで、オーディルを摘発しようとした所から話が始まる。

「ザ・スイッチ」から再登場する他の人物は、オーディルの仲間だったルイスとメラニー。今回、「ザ・スイッチ」を読み返した限りでは、割と短めの長篇ということもあり、この3人は半端な小悪党という程度の印象で、それほど作り込まれたキャラクターではないように感じたけれど、レナードには、彼らを書き足りなかったという気持ちが残っていたんだろうか。今回はじっくり描かれていて、人物像がくっきりしている。

この3人とジャッキー、成り行きでジャッキーと組む形になっていく保釈金融業者のマックス・チェリー、捜査官のニコレットなどが、それぞれ自分の思惑に基づいて、互いに駆引きしていく。その過程は、綿密に立てたプロットに合わせて登場人物が描かれているというよりも、一人一人が勝手に動き回っているような感じがする。こういうオープンな裏のかきあい、化かし合いが描かれている所が、レナードの小説の面白さのひとつだと思う。登場人物が自立している感じというか。
中でも、周囲の人間すべてを手玉に取るような動きを見せるジャッキーが、一番したたかと思えるわけで、タランティーノが映画化した時のタイトルが、「ジャッキー・ブラウン」なのも無理はない(ジャッキーが白人から黒人に変更になった影響で、セカンドネームが「ブラウン」に変わっている)。なお、「ジャッキー・ブラウン」は見てない。

ただ、ジャッキーを含めて、鬱屈している感じがある登場人物が多く、抜けたような楽しさが、今一つないような気はした。たとえば、ルイスやメラニーは、「ザ・スイッチ」からの印象で、抜け(マヌケ?)担当のキャラかなと思って読んでいたんだけれども、そういう展開にもならなかったし。

本書のすぐ前の長篇が、先日読んだ「Maximum Bob」になる。「Maximum Bob」を読んで、レナードの作品の持ち味というのを再確認したくなって、本書を読み直してみた。本書はオーディルの摘発と、彼が貯えたカネが、ストーリーのはっきりした軸になっていて、割ととりとめのない展開で進む「Maximum Bob」よりも、小説のまとまりはいいと思うし、ミステリ的な面白さも上じゃないかと思う。
ただ、「Maximum Bob」のとりとめのなさこそが、レナードの持ち味だったような気もするわけで、少し微妙。もう少し読み返してみないとだめかな。

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