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感想「ザ・スイッチ」

「ザ・スイッチ」 エルモア・レナード サンケイ文庫
1978年刊行の長篇。邦訳は1986年で、直後ではないが、2-3年のうちには読んでたはず。「Maximum Bob」を読んで、いくつか考えたことがあったので、約30年ぶりに再読してみようと思った。

主人公のミッキーは、やり手の不動産業者と結婚し、良き妻・良き母親を演じて来た女性だったが、夫との関係は破綻しかけていた。そのミッキーを、3人組の悪党が誘拐して、夫に身代金を要求する。しかし夫は、ちょうど妻宛に離婚届を送達した所で、妻が誘拐されたまま殺されてしまえばいいかもしれない、と考え始める。事態がうまく運ばないことに悪党たちが焦る一方で、誘拐されたことで日常の束縛から解放されたミッキーの心境に、変化が起きる。

かなり初期の作品なので、「Maximum Bob」とは結構タッチが違う。かなりサスペンスを意識して、コンパクトに書いている感じがする。ただ、話がどういう所に落ち着くのか、先が読みにくい展開なのは変わっていない。もっとも、かなり昔とはいえ、一度は読んでいたから、何となく分かったけど。30年ぶりにしては、意外に覚えていたな、と思った。細かい所は全然だったけど、アウトラインくらいは。
コンパクトな分だけ、やや物足りなさはあるけれど、気楽に読める面白い小説ではあると思った。楽しめた。
で、やっぱり主役は女性だし、思い通りに事が進まずあたふたする男の登場人物(悪党だけでなく、主人公の夫や、その周辺の男たち)は、基本的にマヌケ扱いだね。レナードには、そうでないタイプの作品もあるけれど(タフガイ的な男が、ばりばり活躍するタイプの小説。もっとも、そういう場合も、主人公の性格や設定はだいたいひねっているが)、少なくともこういう系統の作品群はずっと続いているはず。

ところで、訳者あとがきに、レナードの小説の書き方を紹介しているくだりがあり、まず登場人物の名前を付け、肉付けして行くうちに、登場人物たちが動き始めたのを、小説に書く、というようなことが書いてある。書いている途中は、レナード自身も結末が分からないんだとか。
それって、「Maximum Bob」の感想で書いた、「舞台と個性的な登場人物を設定し、あとは多分に成り行き任せ(に見える)というのがレナードのスタイルだと感じてる」というのと、かなり近い気がする。作品から読み取っていたのかなあ。いや、多分、この解説とか、レナードのスタイルについて書かれた他の記事を読んだ記憶から、そういうイメージが漠然と作られていたんだろうな、きっと。
とはいえ、少なくとも見当違いの事を書いていた訳ではないということがわかって、良かった。
(2017.6.8)

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