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感想「イザベラ・バード」

「イザベラ・バード」 パット・バー 講談社学術文庫
明治時代の初期に日本を訪れた、イギリスの女性旅行家の伝記。2013年の刊行。
この人が奥羽地方や北海道を旅した体験は、「日本奥地紀行」という、割と有名な本にまとめられ、山形県の南陽市にはイザベラ・バード記念塔というのもあるとか。ただ、イザベラ・バードという名前は知っていたが、実質的なことはあまり知らなかったので、本書を読んでみた。

この人は日本だけでなく、世界各地、しかも辺境的な地域を好んで旅していた人物だったと、初めて知った。イギリスでの日常生活の中では平凡な女性で、むしろ病弱なくらいだったのが、40代になって旅に出ると、別人のように活気にあふれた人間になったというのが、当時のイギリスでの女性の抑圧ぶりを示しているように思えた。それにしても、並みの人間であれば男でも行かないような、厳しい環境や危険な場所へも行ってしまうんだから、並大抵のことじゃない。火山の火口の近くとか、極寒の山奥とか。それほど強い、抑圧への反動があったということなんだろうか。
以前、「ヒマラヤ自転車旅行記」という本を読んだことがある。40代半ばのイギリス人女性がヒマラヤの麓を自転車で走破した体験談で、これも結構無茶な話だった。通じるものがあるのかな、と思ったが、日本人女性の冒険家も結構居ることを考えると、一定の割合で、そういう人物はいる、というだけの話かもしれない。

19世紀末の世界各地の状況が見て取れる所も、興味深かった。アメリカに併合される前のハワイ、中国ではなくイギリスの支配下にあるチベット、マレー半島への中国人の浸透ぶりなど。当時の日本の田舎の悲惨な風景も描かれていて、まあ、そんなもんだったんだろうなあ、という感じではある。バードは北海道ではアイヌと会っていて、この時点では、まだアイヌは民族として、しっかり存在していたように思える。それから100年かそこらしか経ってない今の日本では、レイシストが、アイヌなんていない、みたいなことを言ってしまうような状態になっている。虚しい感じがする。

それにしても、本書の翻訳にはかなり違和感を持った。読みにくい文章な上に、明らかに誤りと思われる個所もある。最後の方には、原著から一部割愛したとのお断りが入っている章があるが、理由が書かれていないので、翻訳の問題があったんじゃないんだろうかと疑ってしまった。もうちょっと何とかならなかったんだろうか。
(2017.10.10)

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