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感想「キリング・ゲーム」

「キリング・ゲーム」 ジャック・カーリイ 文春文庫
カーソン・ライダーもの。前回翻訳された「髑髏の檻」の次々作で1冊飛ばされたらしい。理由は特に書かれてない。ちなみに「髑髏の檻」の前作も未訳で、ここも前々作「イン・ザ・ブラッド」から1冊飛ばし。飛ばされた作品は、出版社が売りたい方向性ではなかったりしたのかな、と邪推。このシリーズは、作品の持ち味からすると、かなり偏ったイメージで宣伝されていると感じているので、そんなことを考えてしまう。

モビール市警に恨みを持った男が、ライダーを市警を代表するスター捜査官と思い込み、次々人を殺して、その責任をライダーになすりつけていく。連続殺人の犠牲者は、犯人によって無差別に選ばれた人たち、と思わせて、実は?、という話。
ここでのミッシング・リンクの設定の仕方は、割と気が利いていると思うが、そんなに都合よく、条件に合ったターゲットがいるもんだろうか、という気はした。かなり不安定な人格の犯人が、そこまで正確に被害者の情報を調べ出せたのも、いまひとつ信じがたいように思える。
エンディングも、伏線は張られているとはいえ、むりやりなひねりだな、という気がする。ここまで手の込んだことをする必然性が感じられない。

それから、本書にはチャウセスク時代のルーマニアでの犠牲者が複数登場するが、かれらをこのように描いたことで、実際のそういう人たちから抗議が来たりはしなかったんだろうか、と思った。当時のルーマニアで、これほど酷いことが行われていたという事実を広める効果はあるだろうけれど、それにしても、この描き方は、在米ルーマニア人の信用を落としそうに思えた。

主人公のライダーは、元々、悲惨な生い立ちや、公に出来ない特殊な状況の兄が居ることで、有能だが屈折しているキャラクターの持ち主という設定だったはずだが、そういうネガティヴな要素は、ここまでのシリーズ作品で、ほぼクリアにされてしまっているので、本書を読んでいると、(本書の犯人が勘違いした通りの)単なるスター捜査官に見えてしまう。そうなってしまうと、結構調子のいい所もある人物だから、追い詰められた状況に陥っても、あまり同情を感じないし、別にどうでもいいやと思ってしまった。犯人に、同情を誘う背景があるのが、早い段階から見えていることもあって、必ずしもライダーの側に、肩入れ出来なかった。

巻末で、シリーズが大きく方向転換する予兆が描かれているのは、その辺の行き詰まりを著者も感じていて、変える必要性に迫られたからかもしれないな。

シリーズの1作として、それなりに面白くは読めたけれど、特に感銘は受けなかった。
(2017.12.8)

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