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感想「ブレードランナーの未来世紀」

「ブレードランナーの未来世紀」 町山智浩 新潮文庫
80年代に製作され、カルト的な人気を博したアメリカ映画を解説する内容。元版は2006年の刊行。取り上げられている映画は、「ビデオドローム」「グレムリン」「未来世紀ブラジル」「ブルーベルベット」「ターミネーター」「プラトーン」「ロボコップ」「ブレードランナー」。
自分が一番映画を見に行ってたのは80年代の、これらの映画が公開された頃で、当時、「スターログ」とかの雑誌を読んでいて、映画の背景情報にも割と通じていたから、この辺の作品には思い入れがある。もっとも、グロそうだなと思って、見るのを敬遠したものもあるが…(「ビデオドローム」「ブルーベルベット」「ロボコップ」)。本書を読む限り、その判断は正しかったぽい。改めて見ようという気も、ちょっと起きない。映画そのものへの興味は沸いたけれど、グロい映像は苦手で。

見たことのある作品についての解説は、当然興味深かった。その作品が製作された背景から、ストーリーを追いつつ、個々のシーンが持つ意味までが、丁寧に考察されている。何度も見て、内容がかなり細かく頭に入ってる映画については(「ブレードランナー」「グレムリン」)、そうした解説で、さらに理解が深まったと思うし、そこまでの知識がない映画にでも(「ブラジル」「ターミネーター」「プラトーン」)、そういうことだったのか、と思わされる所が各所にあった。
ついでに言えば、見てない映画も見たような気にさせてくれた(^^;)。
じっくり書き込まれた、重みのある本だと思う。

ところで、巻末に「あまりにも多くのものがすでに作られてしまった。何をやっても誰かのレプリカになってしまう」というくだりがある。この前後に書かれている部分も含めて、それは近年、自分が感じていることだなと思った。映画、というか、フィクション全般について、昔ほど魅力を感じなくなっている、夢中にならなくなっているのは、多分、そのせい。
それと、その手前の段階として、過激なもの・グロテスクなものが、新しさを目指す手段として多用され始めたと思うし、その時点で、自分のフィクション離れが始まっていたような気もする。映画に関しては、そもそも、この本に取り上げられている作品群が、そのさきがけだったとも考えられる。だとすると、ある意味、自分にとっての映画への強い関心は、始まったと同時に終わっていたのかもしれない。
著者は「この先、新しい夢を見られるのはいつだろうか?」と結んでいるけれど、そこについては、自分はかなり悲観的。

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