« 感想「ドクター・マーフィー」 | トップページ | 感想「ミスター・マジェスティック」 »

感想「本格ミステリ戯作三昧」

「本格ミステリ戯作三昧」 飯城勇三 南雲堂
本格ミステリの有名な作家や作品についての評論集だが、形式が独特。対象とした作家の作風や作品について、それらを真似て、論点が明確になる内容の贋作を書き、併せて評論で論じるという形を取っている。小説と評論が並行して置かれているので、確かに著者の意図が分かりやすい。自分がそれほど関心がない作家や作品についても、言わんとしていることが何となく理解出来るというメリットもあったかなと。
贋作の内容については、基本的にはお遊び的なものなので、あれこれ言うのは無粋かな。ただ、しっかり考えて書かれたものではあるし、どれも面白く読めた。

そこそこ分厚い本ではあるが、15章から成っているので、一篇一篇は結構短く、やや食い足りない部分もある。体系的な評論集というよりは、ミステリのマニアが、思いつくままに色んな作家や作品を論じてみた、という雰囲気が強く感じられる内容だと思う。商業出版にしては、随分、趣味的な本だなあ、とは思ったが、著者の名前だけでも、ある程度は売れるという判断を出版社がしたんだとすれば、飯城さんにはちょっと感心してしまう。ミステリ・マニアとしての、長年の活動の積み重ねの上で、出せた本だと思うので。
まあ、同じ出版社が2016年に出した「本格ミステリー・ワールド2017」を読んだ時、まるっきり同人誌だな、と思ったのだけれど、それを考えれば、こういう本が商業出版で出ても、不思議はないのかもしれない。ちなみに本書収録の綾辻行人篇は、「本格ミステリー・ワールド2017」からの再録。

なお、著者がエラリー・クイーン研究家なので、クイーン関連の項目が多い。クイーンに関する贋作・評論だけでも、読む値打ちは十分にある本じゃないかと思う。
(2018.2.17)

|

« 感想「ドクター・マーフィー」 | トップページ | 感想「ミスター・マジェスティック」 »

「小説以外の本」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/3787/66412308

この記事へのトラックバック一覧です: 感想「本格ミステリ戯作三昧」:

« 感想「ドクター・マーフィー」 | トップページ | 感想「ミスター・マジェスティック」 »