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感想「岳飛伝」16

「岳飛伝」16 北方謙三 集英社文庫
全17巻のラス前。さすがに終了目前の気配が濃く、大規模な戦闘の連続で、日常的な風景はほぼ描かれていない。
また、戦闘の場面は、英雄同士の闘いというようなロマン的な要素が意識的に薄められて、ただの大規模な殺し合いに近いものとして描かれている感じがする。大量の人間が、単なる人数として死んでいくという描き方を、著者が意図的にやっているんじゃないかと感じる。以前は、もう少し、ひとりひとりの姿が感じられるような雰囲気で描いていたように思う。
しばらく前から思ってることだけれど、戦の位置付けが、以前とは変わってきているように感じる。多くの登場人物から、戦に対して懐疑的な言葉が出てくるのも、その表れじゃないかな。もはや、戦のために生きている人物のようだった兀朮ですら、戦闘に倦んでいるように見えたりするし。

それにしても、万単位の人間が戦闘で死んでいく場面が度々描かれるが、リアリティという点ではどうなんだろう。中国は巨大で、人がいくらでもいるというイメージは確かにあるが、これほどの人的な消耗は可能なんだろうか。梁山泊側に半端でない数の兵士が度々志願して来る点についても、本当にそんなことがありえるのかなと思う。小説を成立させるために、現実性には眼を瞑っているのかな。
正直、場面がかなりパターン化し始めている感じもする。話を進めるために欠かせない中心的な人物を、副官が身代りになって救う場面とか、またか、という感じで。
ストーリーの要請で、無理な展開を作ってるかなあと思うことが、さすがに増えてきていて、そういう意味でも、このシリーズは、そろそろしまい込む頃合いかなと思ったりもする。

最終巻では、どれくらい綺麗に話を終らせているんだろうか。
(2018.3.8)

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