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感想「折りたたみ北京」

「折りたたみ北京」 ケン・リュウ編 ハヤカワSFシリーズ
中国系アメリカ人作家による、現代中国SFのアンソロジー。タイトルの面白さに引かれて読んでみた。

日頃そんなにSFを読んでるわけではないから、「中国SF」はどういうもの、みたいなことを、あれこれ言えるだけの知識は自分にはないと思う。だから、その辺は置いておく。
収録されている作品の内容そのものは、おおむね、普遍的な(ある意味、既視感のある)SFと感じたけれど、中国が舞台で登場人物の大半が中国名、という作品が大半を占めるところには、やはり目新しさや新鮮さを覚えた。
もちろん、目新しさだけでなく、魅力のあるものが多かった。SF的な道具立てにあまり依存しない、日常の延長のような近未来を舞台にした、人間性をテーマにした作品が多かったように感じたし、おかげで、それほどSF愛読者というわけではない自分が馴染みやすかった、というのはあると思う。
また、複数の作品が収録されている作家が多く、それぞれの作家の持ち味について、より理解が深まる効果があったように思う。このあたりは、現代中国SFに入門しやすくための、工夫だったのかな。

中国はああいう政治状況の国だから、「沈黙都市」あたりを読んでいると、こんな小説を書いていて大丈夫なんだろうか、と思うんだが、どうなんだろう。抑圧的な未来社会が描かれているというだけなら、中国だけのことではない普遍的なテーマだし、日本の今の状況を見ていると、日本だって遠くない将来、どれだけ酷いことになっても意外じゃないと思っているから、特定の国の状況を書いた小説ではないという感覚で、自分は読んでいたけれど、政府という存在が、作品をどう受け止めるかというのは、また別の問題だからね。
そういう綱渡りをしながら書いているのだとすれば、それはある種、尊敬に値すると思うが。

収録された作家は、どれも印象的だったが、一人挙げるなら陳楸帆かな。中国のウィリアム・ギブスンと言われてるそうで、確かにそんな雰囲気がある。まあ、おれが今まで読んだ中で、一番好きなSF作家は多分、ウィリアム・ギブスンのわけで…(^^;)。
ちなみに、本書を読むきっかけになった表題作は、いかにもSF的なアイディアを中心に置きながら(これは結構感心した)、アイディアそのものよりも、それを通して見えてくる中国社会の構造や、そこに生きている人たちの姿を描くのが主眼と感じたし、先に書いた通り、そういう傾向はこのアンソロジーに収録された作品に共通して言えると思う。
(2018.4.14)

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