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感想「犯罪者」

「犯罪者」 ジム・トンプスン 文遊社
若い女が殺されて、幼馴染みの男が容疑者になる、という話だけれど、ミステリ的な展開はほとんどなくて、ひたすらトンプスンらしい殺伐とした混沌が描かれていく。そうした雰囲気自体はトンプスンの小説でお馴染みのものだけれど、単純に主人公が破滅していくという話にはなっていない。というか、明確な主人公がいない。
奇妙な人物がいろいろ登場するとはいえ、それでも途中までは、普通の犯罪小説のような結末を目指しているように見えなくもない。現実の社会で起きていそうな不条理な出来事を揶揄的に描いた、社会批判と取れなくもない部分もある。しかし、終盤、急激に異様な雰囲気になっていき、突然ブツッと、結末を投げ出したかのように終わる(というか、終わってない?)。
この異様さが、本書の最大の読みどころかも。

はっきりした主人公がいない分だけ、トンプスンが書こうとしているものが、より見えやすくなっているようにも思える。つまり、本書に限らず、トンプスンが多くの作品で書こうとしているのは、個人の人生(破滅)ではなく、社会の破綻(現実の社会というよりは、抽象的、観念的な意味での)と思えるし、それが本書では、とりわけ明確に見えるように感じた。
この、社会の破綻が描かれていると、自分が感じる所が、いくつかの評論でトンプスンの特徴として論じられている、キリスト教的な原罪意識とかいったあたりに通じるものなのかなと思う。自分はその辺の知識が乏しいので、あいまいな形でしか理解できないが。

本書を読んだ後で他の作品を読んだ方が、トンプスンはより理解しやすいかもしれない、という気もした。本書は比較的初期の作品だから、そういう読み方もあまり不自然ではないと思う。
(2019.1.24)

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感想「サンダルウッドは死の香り」

「サンダルウッドは死の香り」 ジョナサン・ラティマー 論創社
酒飲みの私立探偵ビル・クレインを主人公にしたシリーズの4作目(全5作)。原著は1938年の刊行で、昨年9月に翻訳が出た。

脅迫状を受け取った金持ちを守るために、雇われたクレインと仲間の私立探偵たちが、フロリダで酒を飲みまくり、美女と戯れ、海で遊んだりしながら、事件の真相を追及していく話。
不可能犯罪的な興味で引っ張る内容で、ミステリらしさはかなり濃く、プロットも結構しっかりしている。主人公たちは、最初の方で自分から(多分、半分くらいは洒落だけど)宣言している通り、仕事と遊びを合体させるというスタイルなので、遊びまくっているようでも、調査はきっちりやっている。脱線の連続のようでいて、ストーリーも案外まっすぐつながっている。
ただ、読者にもよるだろうけれど、自分にとっては、事件の謎解きそのものよりも、主人公たちが軽口を飛ばしながら、享楽的に事件を追いかけていく過程の方に面白さを感じた。事件の真相は終盤の少し前でクレインによって解き明かされてしまい、その後に最大の見せ場の派手な立ち回りがある、という構成を見ても、著者の意図としても、そっちの方に比重があるのかなと。とはいえ、手がかりの提示や謎解きのプロセスで、著者は手を抜いていないが。
そのあたりが、本書の解説のように、本格ミステリの側からこの著者の作品が論じられる所以なんだろう、という気がする。ただ、実はそこが、近年ずっと、自分がモヤモヤしている所で、そこそこ謎解き要素がしっかりしているというだけで、その作品の方向性も考えずに、安直に本格ミステリの観点から語ろうとする向きがいる、と感じていて、なんかイヤ、と思っている。これは、瀬戸川猛資が遺した悪い流儀じゃないかと。まあ、あの当時は、そういう話でもしないと、本格ミステリの新しいネタが乏しかったから、そういう強引さにも必然性があったし、新鮮な感じだった。でも今は、いろんな状況が大きく変わっているから、そんな必要はないと思うし、何でわざわざそんな切り口で語る?、という鬱陶しさが先に立つ。
もっとも、本書などは、そういう観点で語れるから翻訳紹介してもらえた、という面もありそうなので、難しいところではある。
それと、今回の解説を読んで、ラティマーは、ライスやスタウト、E・S・ガードナーあたりの、本格とかハードボイルドとかいうジャンル意識があまり強くなさそうな作家たちの系譜なんだなということを思った。だからまあ、違和感のある観点からであっても、論じてもらえれば興味深い発見もあるわけで、一概に否定的に考えることでもないか、とも思う。

それにしても、本書の翻訳は問題が多いのでは、という印象。原文と照らし合わせて読んでるわけではないので、正確にはわからないが、辻褄の合わない所や不適切に感じる注釈が、あちこち目に付いた。もっとも、訳者あとがきを見ると、趣味で?訳していたのを論創社に持ち込んだら、出して貰えることになった、みたいな顛末らしいので、仕方ないかという気もするが。そんなことでもなければ、この時点で出されることもなかった本だろうな、とも思うので。
(2019.1.17)

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2019年グランパス日程

とりあえず、開催日時が確定している所まで。

 

節  開催日  KO時間 相手 スタジアム   結果
1  2/23(土)   14時   鳥栖 駅前スタ   4-0
2  3/2(土)  14時  C大阪 パロマ瑞穂  2-0
L1  3/6(水)  19時  神戸 パロマ瑞穂  2-2
3  3/9(土)  15時  G大阪 パナ吹田   3-2
L2  3/13(水)  19時 大分  パロマ瑞穂  2-1
4  3/17(日)  13時半 東京  味スタ    0-1
5  3/30(土)  14時  札幌  豊スタ    4-0
6  4/5(金)  19時  鹿島  カシマ    1-2
L3  4/10(水) 19時半 C大阪 ヤンマー   0-3
7  4/13(土)  19時  横浜  日産     1-1
8  4/20(土)  14時  磐田  豊スタ   1-0
L4  4/24(水) 19時  大分  大銀ドーム 2-2
9  4/28(日)  15時  広島  豊スタ     1-0
10  5/4(土祝)  16時  湘南  BMW平塚   1-1
L5  5/8(水)  19時半 C大阪  パロ瑞穂  2-2
11  5/12(日)  15時  浦和  豊スタ     2-0
12  5/17(金)  19時  川崎  等々力    1-1
L6  5/22(水)  19時  神戸 ノエスタ    4-1
13  5/26(日)  15時  松本  豊スタ    0-1
14  6/1(土)    14時  仙台  ユアスタ   1-3
15  6/15(土)  19時  大分  昭電ドーム
LP  6/19(水)  19時  仙台  パロマ瑞穂
16  6/22(土)  19時  清水  パロマ瑞穂 
LP  6/26(水)  19時  仙台  ユアスタ
17  6/30(日)  18時  神戸  ノエスタ

 

18  7/7(日)  18時   湘南  パロマ瑞穂
19  7/13(土)  19時  C大阪  ヤンマー
20  7/20(土) 18時  G大阪  豊スタ
21  8/4(日)  19時  浦和  埼スタ 
22  8/10(土)  19時  川崎  豊スタ
23  8/18(日)  18時  松本  サンアル
24  8/24(土)   18時  横浜  パロマ瑞穂
25  8/30(金) 19時半  東京  パロマ瑞穂

 

Lはルヴァンカップ。LPはルヴァンカップ、プレーオフステージ。

 

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トップリーグカップ総合順位決定トーナメント2回戦 リコー対NEC

2019.1.19(土) 14時 熊谷ラグビー場

 リコーブラックラムズ 28(7−17)35 NECグリーンロケッツ
              (21−0)

勝った方が9位の順位決定戦。

序盤はNECがFWの強さを見せて、ラインアウトをモールで押し込む形から2トライで10点先行。リコーがその後1トライ返したものの、NECはキレイにパスを展開して、再度突き放し、17対7で前半終了。
リコーは前半終盤、後半序盤と、NECのゴール前まで攻め込んだが決めきれず、残念な雰囲気が漂っていた。ただ、この試合は序盤から若干荒れ気味で、試合の流れが悪く、ぎくしゃくしていた感じ(主審に問題があったという意見もあるようで、実際、自分も現地でそういう印象は受けた。判断ミスで、無駄に試合を止めてしまっていたという感じ)。そういう中で後半17分に、NECの13番ネマニがクビに巻き付くタックル。TMOで危険なプレーと判断され、ネマニは退場。試合の流れが決定的に変わった。
元々、リコーも攻め込む時間帯は作れていたわけで、数的優位になったことで(しかも、ネマニは攻守で非常に効いていた)、一気に勢いが増した。68分までに2トライを決めて逆転。76分にはとどめのトライ。NEC17対28リコーで終了。

リコーが(リコーらしい?)決め手を欠いた残念な試合をしちゃいそうなところだったのを、NECの自滅で救われた、という印象。まあ、NECも割とやらかしがちなチームという印象を持ってるが。
終了寸前、NECが攻め込みながらミスした所で、場内MCがマイクが入っているのを忘れていたらしく、「またやっちゃった」という声が場内に響き渡って、笑いを誘った。その直後に80分が経過したが、ホーンを鳴らす担当者がそのアナウンスに気を取られたのか、鳴らすのを忘れているうちに、NECからボールを奪ったリコーがタッチに蹴った。その後でホーンが鳴った。蹴った時点で80分を過ぎていたから、それで試合終了のはずだったけれど、ホーンが鳴る前に蹴っていた形になっていたので、しばらくピッチ上が混乱。選手が審判に確認して終了が周知され、ようやくリコーの選手たちが喜ぶというドタバタした結末。まあ、のどかな風景だったと思う(^^;。終始ドタバタしていた試合らしい幕切れだったかもしれない。

それにしても、レッドカードを久々に見た気がする。まあ、意図的というよりは、はずみでクビに入っちゃった感じには見えたけれども、ラグビーの危険なプレーは本当に深刻な事故になりかねないから、うっかりの事故でも厳しく対処するべきだろうね。全体的にレフェリングに問題があったとしても、ここは妥当な判断だったと思う。
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トップリーグカップ総合順位決定トーナメント2回戦 豊田自動織機対ヤマハ

2019.1.19(土) 11時半 熊谷ラグビー場

 豊田自動織機シャトルズ 31(31−14)35 ヤマハ発動機ジュビロ
              (0−21)

トップリーグカップ順位決定戦。勝った方が11位の試合。
リーグ戦では3位に食い込んだヤマハが、なんでこんな位置に居るのかもよくわからんのだけど、そもそもカップ戦の位置づけが分かっていない。Jリーグのナビ杯みたいなものと理解すればいいのであれば、わからんでもないが。
織機に関しては、年末の入替戦で三菱重工相模原に負けたので、来季はトップリーグから降格。とりあえずはトップリーグでの最後の試合ということで、モチベーションは高かっただろうなと思う。

とはいえ、開始2分でヤマハがあっさり先制して、やはり格が違うのかと思ったんだが、その後はむしろ織機の方が優勢。SO(グリーン)がキックを効果的に使って、ヤマハのディフェンスをうまく崩し、ゴール前では粘り強い攻めを繰り返して、トライ2発で14分に逆転。24分にヤマハに一旦は追いつかれたが、その後もペースを維持して、トライ2つとPGで31対14まで点差を広げて、前半を終えた。
後半も立ち上がりは織機が攻めていたが、5分にヤマハのFB(ラブスカフニ)が自ゴール前で織機のパスをインターセプトし、そのまま織機ゴールまで突っ走り、トライを決めた所から流れが変わり、ヤマハが優勢な展開に。織機も、度々ゴール前まで攻め込まれながら、こらえ続けていたが、31対28の後半18分に故意の反則を取られて18番(水野)がシンビンを貰い、一人少ない状態でとうとう逆転のトライを許してしまった。その後も、ヤマハ優勢の流れは変わらず、織機は追加点は許さなかったものの、後半は無得点のまま試合終了。織機31対35ヤマハが最終スコア。

織機はよく頑張ったけれど、後半を見ていると、やはり力の差があったかもしれないな、という気がした。
ヤマハは清宮監督の最後の試合だったらしい。この監督がひとつの時代を築いたのは間違いない。来季のヤマハは、どう変わるんだろうな。
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トップリーグカップ総合順位決定トーナメント1回戦 NTTコム対神戸製鋼

2019.1.13(日) 14時 秩父宮ラグビー場

 NTTコミュニケーションズ 35(14−20)37 神戸製鋼コベルコスティーラーズ
 シャイニングアークス    (21−17)

秩父宮の第2試合。

神戸製鋼はリーグ戦の優勝チーム。ここも今季は見ていないので、どういう試合をするんだろうと思っていた。NTTコムはリーグ戦で1試合、パナを倒した試合を見て、いよいよ強豪の一角に入ろうとしてるよな、という印象だった。

試合の序盤、神戸製鋼のパスが速い上に、いちいちトリッキーで、しばしばボールを見失ってしまった(^^;。そうか、こういう試合をやるんだ、そりゃ強いよなあと思ったんだが、開始2分でトライで先制したものの、NTTの粘り強い試合運びに苦戦して、後が続かない。10分にはNTTに同点に追いつかれた。それでもその後、トライとPGで徐々に得点を積み上げたが、小刻みにPGで点差を広げる試合運びは、往々にして、トライを喰らって、あっという間に追いつかれたりする、と思っていたら、まさにその通りに。前半終了間際にNTTがトライで6点差に詰め、後半開始早々、さらにもう1トライでNTTがあっさり逆転。
しかし、これをきっかけに、神戸がよりアグレッシブになった気がした。44分にトライで簡単に再逆転し、PGで9点差まで突き放した。それでもNTTは、55分に2点差まで詰めたが、そこから先は神戸に試合の主導権を握られて、追いつくことが出来ない。69分に神戸がまた9点差にするトライを決め、以降も試合をうまくコントロールした。ロスタイムに入ってのラストプレーで、NTTはようやくトライで2点差にしたけれども、これで試合終了。神戸が東芝との5位決定戦へ、NTTはキヤノンとの7位決定戦へ進んだ。

神戸は、リーグ戦で優勝した試合に比べて、どの程度のメンバーだったのかはわからないが、試合運びのうまさは感じたし、面白い試合もしていたと思う。試合自体は面白いけれど、個人技の巧さが先行して、チームとしての完成度がいまひとつかな、というのが以前からの神戸の個人的な印象で、この日もそういう所もあったような気はするけれど、この試合は、ペース配分がうまかったと思う。
NTTは粘ったけれど、やっぱり、まだ足りない所があるのかな。もうひとつ上に行くには、手堅くまとめるだけでなく、それに加えた、突き抜けた何かが、チームの要素として必要なのかも、と思ったり。
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トップリーグカップ総合順位決定トーナメント1回戦 東芝対キヤノン

2019.1.13(日) 11時半 秩父宮ラグビー場

 東芝ブレイブルーパス 45(14−12)22 キヤノンイーグルス
             (31−10)

トップリーグカップの順位決定戦。今週の秩父宮での2試合は、勝ち抜けば5位になる、2回戦ノックアウト方式トーナメントの1回戦(2回戦は来週の瑞穂)。

東芝は今季一度も見てないが、リーグ戦では真ん中より下の順位で終わった。会社がああいう状態だし、チームの存続もグレーだし、まあ、そんなもんだろうな、と思っていた。カップ戦はどういう位置づけで臨んでいるのかわからないが、マイケル・リーチがいないところを見ると、ベストメンバーではないのか?と思ったり。
キヤノンはリーグ戦で一度見たが、こちらもいまいちなシーズンだったようで、その時もそれを感じさせる試合内容だった。

この試合は東芝が先手先手を取ったが、キヤノンのFWが強力で、東芝が勢いに乗って突き放しにかかろうとしても、潰されて得点を取り切れず、逆にキヤノンに力づくで押し込まれて失点し、詰め寄られるという展開が、50分過ぎまで続いた。
これは最終的に東芝が息切れして、最終的にキヤノンがひっくり返すのかな、と思って見ていたのだけど、実際は逆で、キヤノンのディフェンスの集中の方が先に切れてしまった感じ。55分にキヤノンの守備の隙を突いて、東芝がトライを決めて28-17にすると、以降は全体的にオープンな展開の中、東芝の得点が続いた。最終的には45-22で東芝が勝ち、来週の5位決定戦に臨むことに。キヤノンは7位決定戦。
東芝は、重厚で愚直なチームというイメージだったが、この試合では、丹念にパスをつなぐ、スピード感の方に特徴があるチームのように思えた。少し小粒な気もしたけれど、試合運び自体は面白かったし、楽しめた。むしろ重さを感じたのはキヤノンの方だったが、東芝の軽快な試合運びに付ききれなかった感じ。

東芝は77分にレジェンドの大野を投入。動きはちょっともっさりしてる感じで、ジャイアント馬場みたいだな、と思ったりしたが(^^;、見れてよかった。40歳だそうだけど、来季はどうするんだろう。というか、東芝というチーム自体、来季はどうなるんだか。
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