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感想「長く暗い魂のティータイム」

「長く暗い魂のティータイム」 ダグラス・アダムズ 河出文庫
「ダーク・ジェントリー全体論的探偵事務所」に続く、私立探偵ダーク・ジェントリーのシリーズ第2作。
今回も主人公のダークが巻き込まれるのは、一般的なミステリで扱うような事件ではなく、北欧の神々が関わって次々起きる異常な出来事。訳者あとがきでは「ミステリー」と言われてるが(純然たるミステリーとしては粗が目立つ、という書き方だけれど)、自分としてはミステリとは言いにくい。前作のようなSF的な趣向も薄いし、まあ、ナンセンスなコメディというしかないかなと。それこそ著者が関わっていたこともあるという、モンティ・パイソンのような。全体的なセンスも、前作同様、モンティ・パイソンぽい。
人間の想像力が作り出した「不死」の神々は、不死なので今も生きてるが、現代では人間が顧みなくなったせいで、人間の世界の中で悲惨な状況で生きている、という発想がベースになっている話。
イメージや個々のシーンはかなり面白いが、プロットはかなり雑。意味ありげに最初の方に出てくる殺人事件の被害者の息子とか、その後、全く姿が見えないから、あの場面のドタバタを書きたかっただけ?、という感じだし、その殺人事件そのものの説明も、結局、分かったような分からないような。書いているうちに、最初の方の細かい所がどっかへ行っちゃってる気がする。もっとも、モンティ・パイソンのコントだと思えば、そんなものかも。
あとはやっぱり、こういうタイプのコメディ小説は、翻訳で面白さを伝えきるのは厳しいなと。文脈を追って、ああそういうひねった書き方なのね、と思うけど、すっと入って来ないから笑えない、みたいなところがそこここにあった。この辺は、よっぽど達者な翻訳家がやるか、割り切って翻案に近い翻訳にでもしない限り、どうしようもないと思っているが、前作ほど小説としての完成度が高くない、と感じられた分だけ、そういう所が気になってしまった感じ。
(2019.2.18)

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