« 感想「長く暗い魂のティータイム」 | トップページ | J1リーグ第1節鳥栖対名古屋 »

感想「ネロ・ウルフの災難 女難編」

「ネロ・ウルフの災難 女難編」 レックス・スタウト 論創社
論創社から出た4冊目のネロ・ウルフもの中篇集。3篇収録の内訳は、商業出版としては確か初訳の「悪魔の死」、「EQ」に訳載された「第三の殺人法」の改訳「殺人規則その三」、「EQ」に訳載された「スイートコーン殺人事件」の改訳「トウモロコシとコロシ」。

「悪魔の死」
女性の依頼人が、自分は夫を殺すつもりはないとウルフに向かって宣言していた時、その夫が他殺死体で見つかっていた、という話。ハッタリの効いた導入部には引き込まれるが、いろいろ探った上での決着ではあるものの、解決もウルフのハッタリ一発という感じはしないでもない。この辺のちょっと薄い感じが邦訳が遅れた原因かな?

「殺人規則その三」
アーチーがウルフと喧嘩して、辞職しますと言って玄関を出た所で、他殺死体を抱えてやってきた女性につかまり、アーチーがウルフを助手に(アーチーが「辞職」した手前、そういう形に)、この女性を依頼人として、事件の犯人を探すことになる話。
登場人物が奇矯な人間だらけなのと、人間関係がややこしい上に、尺が短いので、なんでそういう事件になったのかというのが、いまいち説明不足な感があるが、解決は結構すっきりしている。

「トウモロコシとコロシ」
アーチーと親しい女性がその場しのぎの出まかせの証言をしたせいで、アーチーが殺人事件の最有力容疑者になる話。
しっかりした話の作りになっていて、邦題はヒドイが、内容としては3篇の中でベストと思う。
ヒロインの奔放なキャラクターと、アーチーとの絡みが楽しい。それから、リリー・ローワンがいい味を出している。

全作再読のはずなんだけれども、例によって、スタウトは読んだら忘れてしまうので、全然問題なく楽しんで読めた。多分、前回読んでから、「殺人規則」は20年以上、「トウモロコシ」は30年くらいは経ってるから、忘れてて当たり前かもしれない。比較的近年読んだつもりでいた「悪魔」も、読んでから10年以上経っているらしいし。

ちなみに、小説自体は楽しめたので、翻訳の雰囲気も含め(ネロ・ウルフものは、ここが結構重要)本文には特に不満は感じなかったのだけど、タイトルの付け方とか、帯のセンスとか、巻末の作品リストの粗さとか、本造りのそれ以外の部分には、いろいろ言いたいことはある(そのうち、追記するかも)。

|

« 感想「長く暗い魂のティータイム」 | トップページ | J1リーグ第1節鳥栖対名古屋 »

「小説」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 感想「ネロ・ウルフの災難 女難編」:

« 感想「長く暗い魂のティータイム」 | トップページ | J1リーグ第1節鳥栖対名古屋 »