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感想「不死身の特攻兵」

「不死身の特攻兵」 鴻上尚史 講談社現代新書
太平洋戦争末期に特攻を命じられ、9回以上出撃しながら、生き延びて帰った佐々木友次という人物を紹介することを通じて、特攻がどういうものだったのか、なぜこんな不条理なことが行われたのか、といったあたりを論じた内容。
日本軍がやっていた特攻が、どれだけ愚劣な作戦だったか、それを推進した連中が、どういう風に醜い人間たちだったかというのが、よくわかる。
理屈で考えれば最悪の作戦であることが分かるはずなのに(あるいは、ある程度、事態が進んだ後では、結果も明白に出ていたはずなのに)、それを認めず、そのまま特攻に突き進んだ背景には、無能な指揮官と、愚劣な命令に従順に従う家来たちという二重構造があった。
前者に関しては、個人の資質だから、どうしようもない面もあるだろうけれど、そういう人間が地位に留まることを許しているのも、また後者だと考えれば、最大の問題はそっちかと思う。で、それは多分、著者が本書の最後の方で簡単に述べているように、日本人の精神構造によるものなんだろう。その証拠に、今の日本にも、内閣や政権与党を筆頭に、そんな構図がそこら中に見えるし、特攻を強制したような連中と同じメンタルの人間も、珍しくないように思える。
また、本書中にも記載があるように、政府による誘導や締付けはあったにしても、戦争中の世論は決して反戦的ではなかったし、そういう世論に同調的でない人間を排撃する空気があった。それも多分に、同じところから来ていたんだろうなと思う。
そう考えると、気分が滅入ってくるが。せめて、何が敵なのかがはっきり分かれば、対応のしかたもある、とでも考えるか。
日本人の精神構造についての考察は、著者は別の本、「『世間』と『空気』」で詳しく書いているようなので、そっちも読んでみようかと思う。

著者の鴻上尚史に対しては、演劇というのがあまり好きでないこともあって、先入観があったから、以前はあまり好感を持っていなくて敬遠していたが、近年、この人が書くものをポツポツ目にする機会があり、日本の社会に対して、自分が日頃考えているようなのと似たような意識を、この人が持っていることに気付いた。本書の内容についても、ほぼ全面的に共感出来ると思った。相手のことをちゃんと知ろうとせずに判断するのは、やっぱり間違いのもとなんだなと思う。
(2019.3.2)

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