« セリーグ ヤクルト対中日(4/7) | トップページ | YBCルヴァン杯第3節 C大阪対名古屋 »

感想「ネロ・ウルフの事件簿 ようこそ、死のパーティーへ」

「ネロ・ウルフの事件簿 ようこそ、死のパーティーへ」 レックス・スタウト 論創社
論創社が刊行しているネロ・ウルフ中編集の第2集。2015年に出たもので、当時読んだが、感想をまとめそこなっていた。先日、「ネロ・ウルフの災難 女難編」を読んだついでに、再読してまとめ直しておくことにした。

収録作品は「ようこそ、死のパーティーへ」「翼の生えた拳銃」「『ダズル・ダン』殺害事件」の3篇。すべて既訳があり、既訳の訳題は「死の招待」「翼のある拳銃」「ヒーローは死んだ」。ネロ・ウルフものは長篇は確実に全部読んでいるが、中篇は多分そうでもなくて、この3作のうち、前の2つは以前読んだことがあるが、3つ目はこの本で読んだのが初読だった可能性がある。ただ、例によって、ネロ・ウルフものは、既読でも内容を忘れてしまうので、あんまり関係ない気もする。なんせ、今回の3篇も、2015年に確かに読んだはずなのに、どういう話だったっけ?と思ってしまった始末だから。

「ようこそ、死のパーティーへ」
脅迫されているので犯人を突き止めて欲しいと、ウルフに依頼してきた女性が、突然破傷風で死亡。自然死のように見えたが、被害者の弟がこれを殺人と主張したことから、ウルフとアーチーがかかわっていくことになる。
殺人のトリックがかなり独創的で、トリック集成のような所に、取り上げられそうに思えるもの。事件があってウルフが動き出すという形ではなく、ウルフが関わったのちに事件が始まるという展開になっているのも面白い。長篇ではそれほど珍しくないパターンのような気がするが、尺が短い中篇ではあまりないんじゃないかな。他にも、解決につながる手がかりが二重に解釈できて、そこが引っ掛けになっていたり、ウルフが料理のアドバイスをしてくれた女性を、すっかり気に入ってしまったり、いろいろと読みどころが多い。
黒い蘭にまつわるエピソードが唐突に放り込まれていて、これに関してはアーチーが頭を悩ますだけで、解答が得られないまま終わるが、スタウトにはどういう意図があったんだろうか。解決篇的な作品を、この後、さらに書くつもりがあったのか、単に気まぐれで、他の作品との連続感を出してみただけなのか。ウルフものの作風を見ていると、後者のような気はする。

「翼の生えた拳銃」
夫が自殺した女性が恋人と結婚しようとするが、夫の自殺現場にはこの二人だけが気付いた不審な点があり、実は自殺ではなく殺人で、殺したのは相方ではないかという疑念を、双方が捨て切れないことから、そうではないことを証明して欲しいと、ウルフのもとへやってくる。
依頼内容の特殊さに面白さがあるし、自分で勝手に動くはずのない拳銃の位置が動いた謎を解いていく過程の展開もいい。事件を解決するために、ウルフが依頼人を追い込む結構ひどいやり口や、アーチーの抜け目なさも楽しく、シリーズのファンとしては、上位に置きたい中篇じゃないかと思う。

「『ダズル・ダン』殺害事件」
人気コミックの作者の依頼で、拳銃が盗まれた事件の解決を手伝うために、アーチーが出向いた先で殺人事件が起き、依頼者の嘘の供述からアーチーが犯人と目されてしまい、ウルフも私立探偵免許の停止を受ける。
事件が進行している最中も、だいぶややこしい話に見えるが、解決した後も、犯人が必要以上にめんどくさい計画を立てていたように思えて、あまりすっきりしない。しかも犯人は、その割には、だいぶズサンなこともしている。コミックの製作現場が舞台になっているが、必然性がいまひとつ見えない。唯一、これがあるからこの舞台か?と思える、コミックの内容が手がかりになるくだりも、かなり無理やり結び付けているとしか思えない。あまりよい出来の作品ではないと思う。
(2019.3.10)

|

« セリーグ ヤクルト対中日(4/7) | トップページ | YBCルヴァン杯第3節 C大阪対名古屋 »

小説」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« セリーグ ヤクルト対中日(4/7) | トップページ | YBCルヴァン杯第3節 C大阪対名古屋 »