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感想「献灯使」

「献灯使」 多和田葉子 講談社文庫
2011年3月11日の、福島の原発事故に触発されたと思われる作品群の短篇集。

どの作品も、あまり具体的には描写されない原発の事故をきっかけにして、ディストピア的に衰退していく日本を、暗い雰囲気のファンタジーとして描いている(最後の「動物たちのバベル」は少し傾向が違う内容だが、方向性はほぼ同じと思う)。
日本の現在の世相を映しているように取れるあたりは興味深く思えたが、ファンタジーであるにしても、あまりにも非現実的で、言葉遊びとしか感じられない部分も多く、こういう所はそれほど面白いとは思えなかった。
著者が、このテーマに対して問題意識があって書いているのであれば、こういう描き方はネガティヴに受け取られるだけで、逆効果ではないかと思う。あくまでも現実とは切り離した、ファンタジーの素材という位置付けなのなら、単に好きずきでいいとは思うが、そうだとしても、自分にはこの素材は切迫感がありすぎて、現実とかけ離れたレベルで取り扱われることに、あまり好感は持てない。

本書は国際的に高い評価を受けているそうで、著者はドイツ在住。もしかすると本書は、当事者ではない外国の人にはエキゾチシズムもあって、興味深く読まれるタイプの小説なのかもしれないと思ったし、著者自身にもいくらかそういう感覚があるのでは、という気もした。

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